2013 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイムPCRを用いたチロシンキナーゼ遺伝子変異検索
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24592097
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐々木 秀文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00336695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 智紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40315883)
奥田 勝裕 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50529170)
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Keywords | BRAF / EGFR / RET / NTRK1 |
Research Abstract |
肺癌は、組織学的に小細胞癌と非小細胞癌に大別され、組織型に応じて薬剤を選択し化学療法が行われてきた。しかし2004年に我々とDana Farber 癌研究所の共同研究からEGFR遺伝子変異が、2007年に日本の間野博士のグループからALK転座が発見され、さらにEGFR-チロシンキナーゼ阻害剤やALKチロシンキナーゼ阻害剤が認可されたことにより肺癌とくに腺癌の診断、治療体系が一変した。肺癌に対する新たな分子標的として2012年にはRET遺伝子の転座を共同研究の中で見いだし(Lipson D et al. Nature Med 2012; 18(3): 382-384. Sasaki H 24人目)、FISHプローブの開発を行ってきた。2013年にはさらに新しい分子標的として肺癌におけるNTRK1転座を見いだしNature Medicine誌に報告した(Vaishnavi A et al. Nat Med 19(11): 1469-1472. Sasaki H 13人目)。この転座は肺癌の1%程度と推測される比較的まれな転座であり、当院での手術例の肺癌検体を用いて再解析を施行したが、追加では一例も検出されなかった。一方肺癌におけるBRAF遺伝子変異も注目されており、当科でもその検出を試みてきた。この中で頻度が多いV600E遺伝子変異については変異特異的抗体を用いた免疫組織学的検討も行ってきた。まずは肺癌組織からのダイレクトシーケンスで4例のBRAF V600E変異例を、2例のその他のタイプの変異例を同定した。このうちV600E変異例での免疫染色性を確認した。このデーターについては学会発表、論文化している。これらの症例においてのBRAF遺伝子増幅の有無を検討するために、GSP研究所のBRAF FISHプローブを用いて、FISHによる解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院での手術例の肺癌検体を用いてNTRK1の転座の有無について再解析を施行したが、追加では一例も検出されなかった。しかしながらNTRKの恒常的活性化から癌細胞が増殖するため、現在細胞実験での検証を進めている。BRAFの遺伝子変異について腫瘍内での変異率をCAST-PCRで測定したところ、さほど高くないことがわかってきた。さらにintra tumor heterogeneity(腫瘍内における不均一性)についての検討を行うべく、パラフィン包埋切片からレーザーマイクロダイセクションを行い、検体から4-8カ所をくりぬいてDNAを抽出し、CAST-PCRでBraf V600E変異の頻度を確認した。コントロールのPCRでDNAの抽出は十分なされていることは確認でき、手技の確立は進んだと考えている。現在結果を解析中である。海外の他施設より新たなARAF変異も報告されてきており、今後日本人検体における解析の必要性がでてきた。プライマーのデザインを行い、PCRをスタートさせたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
BRAF変異陽性症例においてのBRAF遺伝子増幅の有無を検討するために、GSP研究所のBRAF FISHプローブを用いて、FISHによる解析を進めているところである。現在日本では「BRAF遺伝子変異陽性肺癌に対するGSK2118436の臨床試験」が開始予定となっている。BRAF遺伝子の増幅の有無についてはreal-time PCRを用いた系によるコピー数の定量も試みていき、FISH法との比較検討を行っていく。日本では遺伝子診断ネットワーク(LC-SCRUM-Japan)が構築されRET阻害剤に対する医師主導型臨床試験も2013年2月スタートした。RET転座のような、たかだか1-2%の頻度の希少肺癌であっても実際にスクリーニングが可能であることが証明された意義は大きい。RET転座はこれまで希少と考えられていたALK肺癌の約5分の1の頻度である。しかしRET阻害剤が有望と思われるRET肺癌をどのようにスクリーニングして治療薬の有効性をいかなる方法で示し、臨床応用していけばよいかの考案の過程でFISHプローブの検討を試みてきた。RET遺伝子の切断点を隔てて2つのプローブをおいておき、これらが切断されてほかの遺伝子と融合することを検出する方法(break-apart assay)を主に用いてきた。年間約7万5千人が肺癌で死亡しておりこのうち単純計算で約700人がRET肺癌で死亡していることになる。遺伝子解析技術の進歩に伴い、RET融合、BRAF遺伝子変異などの希少肺癌が近い将来いとも簡単に同定されることが目標である。NTRK1転座はアメリカ、韓国、日本の共同研究にて同定したが、今のところ日本人検体からの転座は検出されておらず、ポジティブコントロールが存在しないため、FISHによる検討に進めなかった。ARAF,BRAF遺伝子変異や増幅の同定が進めばあらたな分子標的としての可能性、臨床応用につながる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Oncogenic and drug-sensitive NTRK1 rearrangements in lung cancer.2013
Author(s)
Vaishnavi A, Capelletti M, Le AT, Kako S, Butaney M, Ercan D, Mahale S, davies KD, Aisner DL, Pilling AB, Berge EM, Kim J, Sasaki H, Park S, Kryukov G, Garraway LA, Hammerman PS, Haas J, Andrews SW, Lipson D, Stephens PJ, Miller VA, Varella-Garcia M, Janne PA, Doebele RC.
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Journal Title
Nature Medicine
Volume: 19
Pages: 1469-1472
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Characteristics of lung cancers haboring NRAS mutations2013
Author(s)
Ohashi K, Sequist LV, Arcila ME, Lovly CM, Chen X, Rudin CM, Moran T, Camidge DR, Vnencak-Jones CL, Berry L, Pan Y, Sasaki H, Engelman JA, Garon EB, Dubinett SM, Franklin WA, Riely GJ, Sos ML, Kris MG, Dias-Santagata D, Ladanyi M, Bunn Jr PA, Pao W .
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Journal Title
Clinical Cancer Research
Volume: 19
Pages: 2584-2591
DOI
Peer Reviewed
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