2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン脱アセチル化及び遺伝子メチル化阻害剤による骨肉腫細胞抗癌剤耐性誘導の抑制
Project/Area Number |
24592247
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 名誉教授 (50150339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00217712)
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00434944)
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
秦 正樹 兵庫医科大学, 医学部, 研究生(研究員) (10446057)
大山 秀樹 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90280685)
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Keywords | 骨肉腫 / 薬剤耐性 / 非ステロイド系抗炎症剤 |
Research Abstract |
我々は、histone diacetylase (HDAC) inhibitorの一つであるバルプロ酸(VPA)がヒト骨肉腫細胞の細胞増殖を抑制し、更にその細胞傷害性免疫細胞感受性を亢進させること、またDNA methylation (DNAM) inhibitorの一つであるHydralazinがHDAC inhibitorによる細胞傷害性免疫細胞感受性の亢進作用を増強させることを明らかにし、骨肉腫に対する免疫療法の効果増強にHDAC inhibitorやDNAM inhibitorが有用であることを示した。しかしこれらの薬剤は、薬剤排出能をもつトランスポーターのMDR-1やMRP-1の発現を増加させ、がん細胞の抗がん剤耐性を誘導する。そこで本研究は、非ステロイド性消炎・鎮痛薬であり抗がん作用をもつcelecoxib (cyclooxygenase-2 inhibitor)がHDAC inhibitor, DNAM inhibitorによる細胞傷害性免疫細胞感受性亢進作用に影響を及ぼさずにMDR-1やMRP-1の誘導を抑制することができるかを検討することを目的とした。 ヒト骨肉腫細胞としてHOS, U2-OS, SaOS-2の3株を使用し、HDAC inhibitorとしてVPA、トリコスタチンA (TSA)、Romidepsin (FK228)を用いた。細胞増殖への効果を調べた結果、HDAC inhibitorとcelecoxibは細胞増殖を抑制したが、Hydralazinはわずかに細胞増殖を促進した。リアルタイムPCR解析の結果では、VPAはcelecoxib やHydralazinの存在に関わらず MRP-1の発現を増加させたが、MDR-1の発現には影響しなかった。またTSAやFK228は両トランスポーターの発現に影響しなかった。一方Western blot解析の結果、各HDAC inhibitorは単独およびHydralazinとの組み合わせでMRP-1の発現を増加させたが、celecoxibとの組み合わせで減少させた。しかしMDR-1の発現には変化が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は概ね順調に進んでいる。HDAC inhibitorとHydralazineまたはCelecoxibを組み合わせることによりMDR-1, MRP-1のmRNAやタンパク質の発現量が変化することが分かった。現在これらの発現量が薬剤耐性と相関するのかをFACS解析を用いて調べている。使用している抗体がFACSに適していないため、別の抗体を購入し、研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①in vitroで抗癌剤耐性の抑制効果を調べる。膜透過性のあるローダミンや反応性蛍光化合物を細胞内に取り込ませHDAC inhibitor、Hydralazine、Celecoxibを組み合わせて培養液に添加する。取り込まれた物質の量をFACSで検出し、MDR-1, MRP-1の発現との関連を調べる。②ヒト骨肉腫細胞の治療に用いられているdoxorubicin等を用いてMDR-1, MRP-1の発現低下が抗癌剤耐性の抑制に関与しているか培養系で調べる。③in vivoで抗癌剤耐性の抑制を検討する。ヒト骨肉腫細胞をスキッドマウスに移植し、単独投与群、組み合わせ投与群に分け、薬剤を1週間投与する。その後doxorubicinを2日毎に3回投与し、それに対する腫瘍増殖抑制効果を比較する。Doxorubicin投与前の腫瘍の大きさを1として、増殖率を各群で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養にかかると見込まれていたディスポの器具、培養液、血清等がほかの実験と重複して使えたため今年度の使用額が少なくなった。また、学会の旅費や謝金の費用もかからなかった。当初から次年度予算を少なく計画していたこともあり、次年度に予算を繰り越して使用することにした。 現在使用中のMDR-1, MRP-1の抗体はFACS解析には使用できなかったため、新規に抗体を購入する。またReal-time PCRの試薬、阻害剤、抗癌剤を購入するのに多くの費用を必要とする。さらにin vitroでの解析を進めるためにスキッドマウスが必要になる。その他に必要な消耗品費は①培養関係のディスポの培養器具、培養液、血清等、②western解析用のゲル、バッファー等。更に学会発表への旅費、論文作製のための費用を必要とする。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Decreased expression of VE-cadherin and claudin-5 and increased phosphorylation of VE-cadherin in vascular endothelium in nasal polyps.2013
Author(s)
Yukitatsu Y, Hata M, Yamanegi K, Yamada N, Ohyama H, Nakasho K, Kojima Y, Oka H, Tsuzuki K, Sakagami M, Terada N.
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Journal Title
Cell Tissue Res
Volume: 352
Pages: 647-657
DOI
Peer Reviewed
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