2012 Fiscal Year Research-status Report
超音波照射によるヘムオキシゲナーゼ1遺伝子発現制御と勃起不全治療への応用
Project/Area Number |
24592442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡部 明彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (20377253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 章裕 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (20377279)
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 講師 (60334736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ1 / 超音波 / 血管内皮細胞 / 勃起不全 |
Research Abstract |
本研究は血管内皮細胞における超音波照射による内因性HO-1の発現制御を試み、さらにED治療応用への可能性を探ることを目的としている。平成24年度はHO-1発現制御における超音波照射条件の検討を行った。また一連の欠失を導入したHO-1プロモーターの超音波への応答を調べ、超音波応答エレメントの同定も行った。 正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)およびヒト臍帯動脈内皮細胞(HUAEC)を用いた。HUVECでは超音波強度および照射時間依存性にHO-1発現増強が確認され、1 MHz 超音波0.5 W/cm2、10 sec、10% duty factorで照射5時間後に、コントロールと比較して約20倍のmRNA発現増強を認めた。HUAECでも超音波強度および照射時間依存性にHO-1発現増強が確認され、1 MHz 超音波0.3 W/cm2、20 sec、10% duty factorで照射5時間後に約33倍のmRNA発現増強を認めた。HO-1蛋白発現経時変化の検討では、両細胞株ともに照射後6~8時間頃から発現増強を認め、12~24時間後まで継続することを確認した。HO-1プロモーターの一部を欠失したDNA断片をルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したベクターをHUAECに導入し、照射8時間後にレポーターアッセイを行なったところ、開始コドンの上流5.8 kbから10 kbのDNA断片に弱い応答、開始コドンの上流4.5 kbまでのDNA断片に強い応答を認めた。開始コドンの上流4.5 kbまでの断片には、3つの連続したストレス応答エレメント(StRE)のモチーフが存在しており、これを1つでも欠失したDNA断片は応答が失われるため、このStREが超音波刺激を媒介していると考えられる。超音波照射にて血管内皮細胞でHO-1発現制御の可能性および発現増強機序の一部を解明できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はほぼ計画通り研究が進んだと考えている。超音波照射条件検討において転写レベルで照射時間および強度依存性にHO-1発現が増強し、翻訳レベルでもHO-1が発現することを示すことができた。また一連の欠失を導入したHO-1プロモーターの超音波への応答を調べ、超音波照射によるHO-1発現制御の機序のひとつとしてストレス応答エレメント(StRE)が超音波刺激を媒介する可能性を示唆できたことは、来年度以降、更なる詳細な機序の解明やvivoで実験を行う際にHO-1発現誘導が十分に得られない場合の重要な情報となると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究で、血管内皮細胞において超音波照射によりHO-1発現誘導が可能であることを確認したので、平成25年度は超音波照射によるHO-1誘導の機序解明と誘導されたHO-1の効果発現について検討する。機序解明にはマイクロアレイ解析を行い転写レベルでの遺伝子発現変化を網羅的に把握し、パスウエイ解析により関与しうるシグナル伝達経路を探る。血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の共培養系を確立し、血管弛緩反応を支配するcGMP の産生を指標としELISA 法を利用したバイオアッセイ系を確立する。この系を利用して超音波照射とHO-1 発現量、cGMP 産生量との関係について詳細に調べる。さらにNO 合成酵素やNO などその他因子の関連がないか、またPDE5 阻害剤との組み合わせによる変化などについても各種薬剤等を利用した実験を行い、HO-1 発現増強と血管弛緩との関係についても明らかにする。またvivoにおいては超音波照射条件の設定に難渋することが予想され、モデルの確立には時間を要する可能性が高く平成25年度後半早々にvivoの予備実験を開始し、モデル確立を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は超音波照射によるHO-1発現機序解明のためにマイクロアレイ解析を行うと同時に、血管内皮細胞と平滑筋細胞の共培養およびHO-1活性をみるためのバイオアッセイ系の確立を目指すが、予備実験も含め、その確立には時間とコストを要する見込みである。同様にvivo実験における超音波照射条件の設定にも時間とコストを要する見込みであり、上述部分も含め、前年度繰越金を加えた予算が必要である。
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Research Products
(2 results)