2013 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌の薬物応答に関与する新規バイオマーカーの特定
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24592529
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山上 亘 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30348718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
赤羽 智子 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40398699)
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Keywords | 効果予測 / 卵巣癌 / 分子標的治療薬 / 化学療法 / copy number polymorphism / SNP |
Research Abstract |
本研究では、①卵巣癌に対する化学療法について、Single mucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムの開発、②卵巣癌に対する分子標的治療薬の関連経路の異常を探索することによる、適応決定のバイオマーカーの開発を目的とした。 ①については、卵巣癌および子宮体癌症例(63症例)の血中正常リンパ球から抽出したDNAを用いて網羅的SNP解析を行い、TC療法時の好中球減少の程度で分けた2群間で統計学的有意差が認められたSNPを選別した。これらのうち5つのSNPではPFSにおいても相関を認めた。 また、好中球減少を予測するSNPの組み合わせを判別分析にて抽出した結果、20種のSNPが抽出された。これらについても、予後との相関を検討中である。 ②については、まず前年度において行ったFGF3, FGF4, FGFR1, FGFR2, PIK3CAの5種の遺伝子についてreal time PCRによるcopy number assayの再現性を確認した。これらの遺伝子増幅の有無と、臨床病理学的因子や予後との相関性を検討した。 次に、卵巣癌の代表的な組織型である漿液性腺癌、粘液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌の細胞株14種における上記遺伝子のcopy number assayを行った。FGF3の増幅が認められた細胞株が1種、FGF4の増幅が認められた細胞株が1種、PIK3CAの増幅が認められた細胞株が3種確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①についてはSingle mucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムとして有用と思われる候補SNPを複数個抽出できており、また予後との関連性は確認されているので、概ね目的は達成されていると考えられる。 ②については、本年度遺伝子増幅を認める卵巣癌細胞株を同定し、その薬剤感受性まで調べる予定であったが、基礎実験が難航したため、そこまで到達できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、①single nucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムの開発については、本年度までに抽出した候補SNPについて、化学療法の効果および毒性や予後との関連性について臨床データと検証し、効果予測システムとして有用なSNPの組み合わせを確立する予定である。 ②卵巣癌に対する分子標的治療適応決定のバイオマーカーの開発については、copy number assayにより候補遺伝子の遺伝子増幅を認めた卵巣癌細胞株について、それぞれに対応する分子標的治療薬の効果についてin vitro、in vivoの系にて検証を行う。また、FISH法により、実際に遺伝子増幅があるかどうかを確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、①single nucleotide polymorphism(SNP)に基づいた卵巣癌術後化学療法(TC療法)の効果予測システムの開発については順調に進捗したものの、②卵巣癌に対する分子標的治療適応決定のバイオマーカーの開発についてはやや進捗が遅れており、それにより次年度使用額が生じたものと考えている。 ②についてのin vitro実験に用いる分子標的治療薬や培地等の消耗品購入費として使用する予定である。
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