2014 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠悪阻(つわり)と嗅覚・味覚の変化-性ホルモンと微量元素の検討
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24592585
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柴田 美雅 産業医科大学, 保健センター, 講師 (90512187)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 味覚 / 妊娠悪阻(つわり) / 微量元素 / ホルモン / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
被験者の妊娠初期・中期・後期・分娩1か月後の4回の検査を完了した。最終的に4回連続で測定が可能であった被験者は31名、里帰り出産などのため途中でリタイアした被験者は6名であった。現在データ解析中のため、まだ確定した結果ではないが、おおよその傾向がみられそうな結果について記載する。 妊娠初期には嗅覚感度の変化(これまで気にならなかったにおいを敏感に感じ取るようになった)や好みの変化(好きだったにおいが嫌いになる)を自覚しているにも関わらず、基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメトリー)では、検査期間を通して感度の有意な変化を認めなかった。においの種類の識別能を調べるカード式嗅覚検査(オープンエッセンス)では、一定の傾向を認めなかった。 また、妊娠初期のつわりの時期には味を敏感に感じ、食べ物の好みも変わると回答した人が多かったにもかかわらず、電気味覚検査では妊娠期間中から分娩後にかけて、殆ど変化が見られなかった。濾紙ディスク法では、分娩後と比べ甘味のみ妊娠初期に感度が低下していたが、塩味・酸味・苦味は変化が見られなかった。 味覚に関連する血中微量元素の亜鉛は、妊娠初期から徐々に減少し、分娩後に基準値内に回復した。鉄は妊娠期間が進むにつれ有意に低下したが、鉄の補充療法を受けている者もあり、基準値を下回るものはいなかった。銅は、妊娠期間が進むにつれ有意に上昇し、分娩後に基準値内に戻った。また、授乳期の分娩後には食欲増進作用ペプチドの活性型グレリンが有意に上昇していた。一方、食欲抑制作用ペプチドのレプチンには検査期間中を通じて有意な変化は見られなかった。尚、血中の生殖関連ホルモン濃度の測定により、全ての被験者は通常の妊娠分娩経過をたどっていることが確認された。 今後、自覚的な嗅覚・味覚の変化を反映できる検査手法を開発し、脳内メカニズムの解明に繋げたい。
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Research Products
(4 results)