2014 Fiscal Year Research-status Report
水晶体における血管新生抑制因子の探索と血管新生緑内障の新しい病態概念の確立
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24592620
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高村 佳弘 福井大学, 医学部, 准教授 (00283193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 大 福井大学, 医学部, 教授 (40335245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水晶体 / 血管新生抑制 / αクリスタリンB |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水晶体に存在すると考えられる血管新生抑制作用を有する因子を同定することである。家兎に対して水晶体摘出術を行い、術後に硝子体を採取し、術前後を比較した結果、αクリスタリンBが有意に低下することがウェスタンブロット、リアルタイムRT-PCRの解析により明らかとなった。強力な血管新生および血管透過性亢進を引き起こすことで知られる血管内皮増殖因子(VEGF)添加によって惹起されたヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)における細胞増殖を、αクリスタリンBは有意に抑制した。これらの結果から、血管新生抑制作用を有するαクリスタリンBが白内障術後に減少することで病的な血管新生が助長されることが示唆された。現時点では、実際にヒトにおいて水晶体摘出後に硝子体においてαクリスタリンBが減少しているかどうか、血管新生の認められない黄斑前膜を有する患者のうち、白内障手術の既往のある患者、既往のない患者との間で硝子体におけるクリスタリンBの発現量を計測、比較する解析を開始している。同時に、血管新生を認める増殖性糖尿病網膜症を有する患者群においても同様に白内障手術の既往のある群とない群との間で比較を行っている。これら臨床面での解析を本年度内に完遂する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、水晶体における血管新生抑制因子の同定、機能解析を達成している。 予定を超えて実臨床における確認作業に進んでいると言えるが、論文作成におけるデータ収集にはまだ時間を要すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、水晶体における血管新生抑制因子の同定という目的は達成されており、今後は臨床において実際に予測された量的挙動を示しているか、確認する工程に入る予定である。実際にヒトからサンプルを採取する際には、あらかじめ本学の医学部倫理審査委員会などに承認を求め、患者の同意のもとに施行する。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究終了時には差額は0となる予定であるが、研究の進行に予定外の事例が発生した場合を想定して余剰分を設定した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験が必要となった際の経費に充てる。
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Research Products
(5 results)