2012 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺の管腔構造形成・維持におけるHippoシグナル伝達経路の機能解析
Project/Area Number |
24592768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 道憲 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (30314496)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 唾液腺 / Hippo / 管腔構造 |
Research Abstract |
本研究は、唾液腺におけるHippoシグナル伝達因子の分子機能を解析し、唾液腺の管腔構造形成・維持における同経路の役割を解明する事を目的としている。 唾液腺組織は胎児由来組織を培養するシステムが確立されている事、in vitroにおいて唾液腺細胞由来の腺房・導管様構造組織を誘導する手法が報告されている事から、管腔構造形成・維持を解析する上で良いモデルとなっている。 本年度は、唾液腺におけるHippoシグナル伝達因子の発現パターン解明を目指し、胎児・成体唾液腺組織における同因子の発現をRT-PCR法、免疫染色法、in situ hybridization法により解析した。 Tead転写因子ファミリーは胎児と成体において発現する遺伝子に差異がある事が明らかとなった。 また、胎児期の唾液腺組織においては、間葉組織と上皮組織間において発現量・細胞内局在の差異が見られた。 特に転写活性領域を有するYap1蛋白質の発現は上皮層に顕著に観察された。しかしながら、Tead1/2/3/4の分子間ではアミノ酸配列の相同性が高く、免疫染色による発現の解析は困難であった。 液性因子透過性の膜上において培養を継続した胎児由来唾液腺組織においても、通常の胎児期唾液腺組織と同様の発現パターンが観察された。 同培養組織におけるHippoシグナル伝達因子の発現抑制を目的とし、siRNAの導入手法の確立と、幾つかの伝達因子の発現抑制を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は研究予定通りおおむね順調に進み、当初予定の研究目的はほぼ達成された。一部実験手法の確立に時間を要したが、次年度に当初予定と合わせて研究を進めることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析結果から、胎児期の唾液腺組織においてHippoシグナル伝達因子の発現が確認され、同シグナル経路の唾液腺の管腔構造形成・維持における役割を解明する上で、転写共役因子Yap1の発現を制御する事が重要であると考えられる。今後は、培養胎児唾液腺組織に対してYap1、共役するTead転写因子ファミリー、あるいは上流のYap1リン酸化酵素を標的とし、siRNA等による内在性因子の転写抑制、あるいはこれらの因子の活性化型・不活性化型発現ウイルスベクターによる導入を行い、唾液腺の管腔構造形成・維持における機能解析を進める。また、Hippoシグナル伝達経路は組織のサイズ制御機構に関与すると考えられていることから、唾液腺の間葉組織・上皮組織の培養過程における経時的変化を定量的に測定し、前述のHippoシグナル伝達因子の発現調節が及ぼす影響を解析する。さらに培養細胞の基質接着を介した力学的刺激の強度がHippoシグナル経路の活性制御に関与するとの報告があり、唾液腺組織の培養においても同組織の基質に対する接着が組織の増大に及ぼす影響を検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費分は、本年度に検討していたsiRNA導入手法の確立に時間を要し、結果的に本年度内に発注できなかったsiRNA購入分で、次年度以降も引き続き解析を行う予定である。当初の配分予定額は研究計画に沿って、Hippo経路シグナル伝達因子の活性化型・不活性化型発現ベクターの構築と、唾液腺培養細胞・組織への導入と管腔構造形成における機能解析に対して使用する予定である。
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