2012 Fiscal Year Research-status Report
歯髄の組織再生を促進させるための血管新生バイオマーカーに対する分子生物学的研究
Project/Area Number |
24592862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 友厚 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70345297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管新生関連バイオマーカー |
Research Abstract |
ラット下顎第一臼歯を被験歯とし、血管新生関連バイオマーカーが歯髄再生に対して果たす役割を免疫組織化学および分子生物学的手法を用いて検索し、速やかに歯髄組織再生を促すために最適な血管新生関連バイオマーカーを検証することを本研究は目的とした。 具体的には、ラットの下顎第一臼歯の歯髄腔内で血管新生関連バイオマーカーが歯髄再生に対して果たす役割を、in vivoおよびin vitroの実験系を通じ、免疫組織化学および分子生物学的手法を用いて検索し、歯髄を速やかに再生するために必要不可欠となる血管新生関連バイオマーカーを検証し、併せて、組織再生を生ずるために適した各種流動的スキャホールド(ペプチドハイドロゲル)の評価を行った。 以上のような研究を遂行し、流動的スキャーホールドとしてBD PuraMatrixペプチドハイドロゲル(米国ベクトン・ディッキンソン社)が、最も優れた歯髄組織再生能を示した。BD PuraMatrixペプチドハイドロゲルとpoly-L-lactic acidスキャホールドを組み合わせることで、さらに良好な組織再生を示した。再生した歯髄組織内の血管新生関連バイオマーカーをELISAあるいはリアルタイムPCR法を用いて検索したところ、VEGF、Bcl-2や、NF-kBに著名な発現の変化が観察されたため、歯髄組織再生にこれらのマーカーが需要な働きを有することが示唆された。 以上の実験結果から得られた知見の一部は、国外学会World Dental Federation(FDI)などにおいて発表され、また国際誌Cell and Tissue Researchなどに印刷された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最初に、 正常ラット歯髄における血管新生関連バイオマーカー、angiogenin、angiostatin、FGF-2、VEGF、 rat IL-8、 NFkB、 GMCSF、Bcl-2、およびBaxの関連遺伝子(mRNA)、DNA、タンパク発現を、real-time PCR、ELISA法を用いて定量的に検索した。 次に、血管内皮細胞の活性化増殖に最も適している血管新生関連バイオマーカーを検索するとともに、血管内皮細胞を培養する細胞培養液に添加するVEGF, FGFの濃度を設定した。以上の結果から得られた培養液を用いて、poly-L-lactic acidスキャホールド、流動的スキャホールド (BD PuraMatrixスキャホールド)、およびpoly-L-lactic acidスキャホールドと流動的スキャホールドを組み合わせた足場の比較を行ったところ、流動的スキャホールド を単独で用いた足場、あるいはpoly-L-lactic acidスキャホールドと流動的スキャホールドを組み合わせた足場が、歯髄再生において最も良好な足場と考えられた。そこで、これらの足場と血管内皮細胞を組合わせ組織再生の実験を行い組織の再生を比較したところ、スキャホールドを組み合わせた足場が最も歯髄組織再生に有効であるという知見を得た。現在は、さらに細胞培養液にNuclear factor-kappa B (NFkB)デコイやFGF-2中和抗体を添加した培養液中で上述と同様の実験を行い、血管新生関連バイオマーカーの発現の変化を評価している。以上の研究結果は、研究計画の1年目を全て網羅するとともに2年目前半の研究も含んでおり研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている歯髄組織再生に関与する血管新生関連バイオマーカーの検索を引き続き行っていく。 具体的には、poly-L-lactic acidスキャホールドと流動的スキャホールドを組み合わせた足場を使用し、以下の3群に分け検索を行う。①.スキャホールドとラット血管内皮細胞移植群(第一臼歯を露髄し、歯髄腔内の歯髄を除去した後、スキャホールドとラット血管内皮細胞を歯髄腔内に移植するグループ)②.スキャホールド移植群(第一臼歯を露髄し、歯髄腔内の歯髄を除去した後、スキャホールドのみを歯髄腔内に移植するグループ)③.コントロール群 (露髄を行わない正常歯髄のグループ)。上記の3グループの試料を、それぞれ以下の5種の培養液中で、 7日~14日間、組織培養する。 培養液として、DMEM培養液(VEGF, FGF-2添加)、Nuclear factor-kappa B (NFkB)デコイおよびDMEM培養液(VEGF,FGF-2添加)、FGF-2中和抗体およびDMEM培養液(VEGF,FGF-2添加)、NFkBデコイ、FGF-2中和抗体、およびDMEM培養液(VEGF,FGF-2添加)、DMEM培養液 (コントロール)の5種類を用いいる。 上記の試料に対し、CD31、VEGFR2(血管内皮細胞増殖因子レセプター2)、Bcl-2(アポトーシス調節因子、血管新生関連因子)などの抗体を用い、免疫組織化学的染色し、各種抗体の陽性反応に対する定量分析を顕微鏡下で行う。さらに、血管新生関連バイオマーカー関連遺伝子(mRNA)、DNA、タンパク発現を、RT-PCR、real-time PCR、ELISA法、およびwestern blotting法を用いて定量的に検索する。上記の定量的実験結果を統合し、 in vitroにおいてこれらの血管新生関連バイオマーカーの歯髄再生における役割を検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費として抗体(免疫組織化学、Western Blotなどに使用)・試薬(リアルタイムPCR法、ELISA法、Western Blot法、免疫組織化学染色んなどに使用)・ガラス器具・プラスチック器具・培養細胞 (樹状細胞、マクロファージ、血管内皮細胞など)・ラット(雄性Wisterラット)などを購入予定。 国内・海外旅費として、研究成果の発信のため、国外学会((The 9th World Endodontic Congress, および55th Symposium of the Society for HIstochemistry)にて2回の発表を行う予定。 その他に、論文掲載費用(投稿・掲載料および別刷代)が必要と思われる。
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Research Products
(20 results)