2012 Fiscal Year Research-status Report
歯髄炎の病態形成における炎症-抗炎症バランス制御の解析
Project/Area Number |
24592871
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中西 正 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00217770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 浩通 徳島大学, 大学病院, 講師 (60284303)
細川 義隆 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90346601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯髄 / 炎症 / サイトカイン / リンパ球 |
Research Abstract |
臨床的に不可逆性歯髄炎と診断された炎症歯髄組織を採取し、ホルマリン固定・パラフィン包埋したのち、薄切組織切片を作製した。ヘマトキシリンエオジン染色にて炎症の程度を確認したのち、活性化T細胞に発現するCD45ROやB細胞に発現するCD20に対する免疫染色を行うとともに、Th17マーカーとされるCCR6発現について検討したところ、T細胞の集積が認められる領域にCCR6陽性細胞の発現を確認した。エフェクター細胞としてのTh17細胞から産生される液性因子が歯髄細胞に与える影響について検討するため、まず代表的な液性因子であるインターロイキン(IL)-17に対するレセプター発現をフローサイトメトリーにて解析した。その結果、IL-17レセプターであるIL-17RAおよびIL-17RCが歯髄細胞に発現していることが示された。 また、炎症歯髄で産生亢進が認められているプロスタグランディン(PG)F2aに着目し、TLR2シグナルにより活性化された歯髄細胞に対するPGF2aの影響について炎症メディエーター(IL-8, CXCL10, CCL20)産生の観点から検討した。歯髄細胞にPGF2aを単独に作用させたところ、IL-8の産生が僅かながら亢進したが、CXCL10およびCCL20の産生亢進は認められなかった。さらに、TLR2リガンド刺激した歯髄細胞にPGF2aを共刺激させたところ、CCL20産生は相乗的に増強された。一方、CXCL10産生はPGF2a濃度依存的に抑制され、IL-8産生は影響を受けなかった。なお、歯髄細胞におけるPGF2aに対するレセプターであるFP receptor発現については、ウエスタンブロット解析により一定の発現量が維持されていた。これらの結果より、PGF2aは歯髄細胞における炎症メディエーター産生を調節している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症歯髄組織におけるTh17細胞マーカーの解析に関しては、その発現を確認することができ順調に進行していると考えている。一方で、Treg細胞マーカーについては、使用する抗体の免疫組織化学への相性等の問題から十分な解析結果を得ることができず、予定より少し遅れており、今後も継続して研究を実施していく必要がある。 また、培養歯髄細胞に対する炎症関連因子の影響についての検討では、PGF2aが歯髄細胞に対し炎症メディエータ産生の調節性因子として作動しうる可能性が示され、炎症-抗炎症のバランス制御という観点から本課題の一部を達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては実験に供与するための試料数が十分に採取できなかったが、研究を完遂するには今後も引き続き試料収集ならびに免疫組織化学に適した条件設定を検討していく必要がある。なお、十分な試料数が得られない場合を考え、平成24年度に一部行ってきた歯髄細胞を用いたin vitro実験をさらに展開していくことも視野に入れている。さらに象牙芽細胞様細胞を用いて炎症性サイトカインをはじめとする各種刺激因子に対する反応性を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、採取できる試料数が十分に得られなかったことや免疫組織化学における抗体の反応性の要因から研究が一部進展しなかったこともあり、次年度への研究費が生じる状況となってしまった。 次年度に使用する研究費の使用計画として、平成24年度に十分に行えなかった試料採取後の免疫組織化学実験の検討を引き続き行うことを主とし、研究の進行状況によっては平成25年度に主として行う予定である培養細胞を用いた実験をさらに推進すべく合わせて使用していきたいと考えている。すなわち、次年度への繰越額は免疫組織化学および培養細胞実験に使用予定である(F-6-1 次年度使用額 907,574 分)。
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Research Products
(2 results)