2012 Fiscal Year Research-status Report
歯髄細胞のsmadsを誘導するシグナル伝達・転写因子ネットワークマップの作成
Project/Area Number |
24592885
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松島 潔 日本大学, 歯学部, 教授 (00157306)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | smads / smad6 / smad7 / 歯髄硬組織形成 / BMP |
Research Abstract |
BMPなどのTGF-betaスーパーファミリーの細胞内シグナル伝達を担うsmadsを歯髄の硬組織形成能の促進・抑制を制御している因子と捉え、歯髄組織の硬組織形成能における調節機構を解明しようとするものである。特にsmad6, 7は、BMPシグナリングを抑制する因子として、BMPレセプタの直下で、smad1/5/8などのリン酸化を抑制し、硬組織形成を抑制している。smad6,7は、転写因子であるNFkBによって、転写活性があがり、発現する。どこで、本年度は、歯髄細胞を用いて、炎症性サイトカインや炎症性メディエータによるNFkBとsmad6,7の発現、およびFNkBを抑制するPyrrolidinedithiocarbamate(PDTC)を用いて、smad6,7の発現およびsmad1/5/8のリン酸化への影響を観察した。IL-1bによって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6,7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。IL-6によって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6,7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。TNF-aによって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。PGE2によって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。また、PDTCを歯髄細胞に添加しておき、炎症性サイトカインおよび炎症メディエータで作用すると、NFkBの発現が抑制され、smad6,7の発現が増強せず、smad1/5/8のリン酸化が抑制されなっかた。 これらの結果から、炎症性サイトカイン、メディエータはNFkBを介して、smad6,7の発現を誘導し、smad1/5/8のリン酸化を抑制することによって、歯髄の硬組織形成能を抑制していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、転写因子を介しての、炎症性サイトカイン、炎症メディエータの歯髄の硬組織形成能への影響を検索し、抑制型smadのsmad6または7の発現によるsmad1/5/8のリン酸化を抑制し、硬組織形成抑制に作用していることを示唆した。転写因子以外に、シグナル伝達因子についての検討は検討できておりませんでした。研究の進行度が緩慢であると認識し、次年度以降取り戻す所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
歯髄の硬組織形成は、レーザー照射などのメカニカルフォースによって促進されており、一方、細菌学的な刺激によって生ずるサイトカインなどで、よくされていることが多い。これらの種々の刺激がどのような経路で、抑制または促進となるかを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度、炎症性サイトカインなどによる未着手であったシグナル伝達因子でのsmad6,7発現に至る経路の解明に遺伝子発現の観察にRT-PCRキット、タンパク質発現にそれぞれの抗体を消耗品費で購入、また、メカニカルフォースや炎症性サイトカインなどによる硬組織形成促進と抑制のシグナル伝達の経路を解明するために、RT-PCRキット、それぞれの抗体、さらにセンス、アンチセンスを作成するための作製キットや試薬を消耗品で購入する。論文作成、学会発表のために、英文校正を謝金から行う。研究の情報収集のために、日本歯科保存学会(2013.10月:秋田)への旅費を使用する。
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