2012 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼・嚥下機能を最適化する全部床義歯形態のイノベーション
Project/Area Number |
24592920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永尾 寛 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本釜 聖子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60380078)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 咀嚼・嚥下 / 全部床義歯 / 義歯形態 |
Research Abstract |
超高齢社会の我が国では嚥下障害を持つ高齢者が急増しているにもかかわらず、義歯製作においては咀嚼機能や審美性を優先するあまり、嚥下機能は軽視されがちである。舌の機能は加齢と共に低下し、それに伴い嚥下機能も低下する。自覚症状はないものの、専門的な検査では嚥下に障害がある患者やその予備軍は少なくない。義歯装着時に問題がないようでも、義歯を長期間使用することで、義歯が不潔になるうえに嚥下機能が低下すると、誤嚥性肺炎のリスクが大きくなる。 そこで、咀嚼・嚥下機能を考慮した義歯形態の指標を得ることを目的として、咬合高径と臼歯人工歯の頬舌的排列位置が食塊形成能、口腔期・咽頭期の嚥下動態に与える影響を調査し、嚥下機能に最適な舌接触圧分布と患者の舌機能に調和した咬合高径、口蓋形態について検討することとした。 平成24年度の計画は、口腔期から咽頭期の嚥下機能を総合的に評価するためのシステムを構築することであった。舌接触圧分布から口腔期嚥下動態を観察するための舌接触圧測定装置(スワロースキャン 現有)と喉頭運動から咽頭期嚥下動態を観察するための自作の嚥下運動記録・分析システム(Nd-Fe-B磁石と高感度交流磁場検知センサを用いたもの)を同期させた。これによって、口腔期と咽頭期の嚥下動態を一連のものとして接触・嚥下機能を総合的に評価するための新しいシステムを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、口腔期から咽頭期の嚥下機能を総合的に評価するためのシステムを構築することに加えて、若年者の摂食・嚥下動態を評価するために、嚥下機能に障害のない若年者5名を被験者として、以下のような研究を予定していた。 まず、咬合高径を第1大臼歯部で2㎜挙上した実験用口蓋床と咬合高径は変化させず、臼歯口蓋側部の厚みを3㎜に設定し口蓋形態を変えた口蓋床を製作し、JMS舌圧測定器を用いて、各口蓋床装着時および未装着時の最大舌接触圧を測定する。次に、嚥下内視鏡を用いたAbeらの方法(J Prosthodont Res.55(3):171-8 2011)で、各口蓋床装着時および未装着時の食塊形成能を測定、評価する。嚥下評価システムを用いて、各口蓋床装着時および未装着時の嚥下(空嚥下、2ml水嚥下、ゼリー嚥下)を評価する。以上より、咬合高径と口蓋形態が若年者の最大舌接触圧、食塊形成能、嚥下機能に与える影響を総合的に評価する予定であった。 しかし、嚥下機能評価システムの構築と嚥下内視鏡を安全かつ確実に操作するためのトレーニングに予定以上の時間を要した。また、実験において嚥下内視鏡を用いることに対する恐怖心から、若年者の被験者を見つけることが非常に困難であった。 現在は、嚥下内視鏡の操作トレーニングを繰り返し行い、安全で確実に操作できるように研鑽を積んでいる。被験者の同意を得る際には、安全であることを実際に見せて、研究に協力してもらえるようにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
嚥下内視鏡を安全かつ確実に操作できるテクニックを身につけるために、更なるトレーニングが必要である。また、機会があれば嚥下内視鏡に関するセミナーを受講したいと考えている。これによって、被験者に安心して研究に協力してもらえるようになり、当初予定していた若年者5名の被験者数を確保できると考えている。 平成25年度以降の計画では、被験者として嚥下障害のない全部床義歯装着者20名を予定している。標準的な方法(咬合高径:下顎安静位法、下顎臼歯を歯槽頂の中央に排列)で製作し、良好に経過している上下全部床義歯を複製し、咬合高径を変化させた実験用義歯(-3㎜、0㎜、+3㎜)、臼歯人工歯の排列位置を変化させた実験用義歯(臼歯人工歯の中心窩が歯槽頂より2㎜舌側、2㎜頬側を通る)を製作し、若年者と同じ方法で咬合高径と口蓋形態が全部床義歯装着者の最大舌接触圧、食塊形成能、嚥下機能に与える影響を総合的に評価する予定である。高齢者を被験者とするため、高血圧等の全身的な疾患をもっていることが予想される。実験前の問診、かかりつけ医への照会等によって、健康状態を詳細に把握した上で測定を行わなければならない。しかし、全部床義歯患者が少ない上に、健康状態が比較的良好で、かつ、研究に協力的で被験者となって頂ける患者を確保することは非常に困難と思われるので、被験者数を10名に変更することも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画時に購入予定であった、鼻咽腔ファイバースコープシステム(鼻咽腔ファイバースコープ用DVD&HDレコーダー含む 2,336,000円)を、当教室の本釜聖子(若手研究(B)24792090 食塊形成能評価法の開発)と共同購入した。 一方、舌接触圧測定装置スワロースキャン(現有)の専用センサーシートは近日中に販売中止となる旨の連絡があったため、120枚(Sサイズ:50枚、Mサイズ:50枚、Lサイズ:20枚)を購入した。また、計測のために、高性能のパーソナルコンピュータを追加購入したため、当該研究費が生じた。 平成25年度以降、次年度への繰越額は、上記のように嚥下内視鏡に関するセミナーを受講し、嚥下内視鏡を安全かつ確実に操作できるテクニックを身につけるため、また、研究の遅れを取り戻すための、実験補助増員の人件費・謝金に使用する予定である。
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