2013 Fiscal Year Research-status Report
リン酸三カルシウムを基材としたベクトルマテリアルの開発
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24592957
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 文昭 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60195120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 賢一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00301317)
篠原 千尋 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50332820)
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Keywords | β-TCP / HAPセメント / 圧縮強さ / 間接引張り強さ / 気孔率 |
Research Abstract |
ハイドロキシアパタイト(HAP)に代表されるリン酸カルシウム系材料は骨補填材として臨床応用されている。HAP焼結体は高い強度を示すことから骨代替材料として用いられているが成形性が劣ること,骨置換性がないことから,溶解性と生体吸収性の両立できるリン酸カルシウムセメントとして,リン酸三カルシウム(TCP)系セメントをボールミリングにかけてアモルファス状態の粉末にして硬化時間を短縮し,早期に最高の強度を得ることを期待した。平成24年度の結果を踏まえ,本年度は臨床応用を見据え注入性,硬化時間,強さの測定を行った。 セメントの基材粉末はβ-TCPをボールミリングで粉末を作成した。練和液として2.5%CaCl2と2.5%Na2PO4を使用し,練和時の液比率4:1:1で練和した(m-TCP)。注入性は練和後直ちにシリンジに注入し,シリンジのピストンの押し出し強さを測定した。また,初期硬化時間の測定には,圧縮強さ(CS)と間接引張強さ(DTS)を測定した。完全硬化体の機械的性質を圧縮強さ(CS)と間接引張強さ(DTS)を測定した。 その結果,β-TCPが練和後5分で注入できなくなったのに対して,m-TCPは7時間後でも注入性は変化がみられず,流動性の持続時間が長いことが確認された。初期硬化時間は,β-TCPでは練和1時間後に硬化しなかったのに対して,m-TCPは1時間後から硬化を開始し,時間の経過とともに硬化が促進され,5時間後にはβ-TCPの約7倍のCSとDTSが確認され,硬化後の強度に優れていることが示された。β-TCPの粉砕時間の延長は,気孔率を低下させ,CS, DTSを増加させた。特にCTの増加が著しかった。しかし,市販のPMMA骨セメントの最低強度(70MPa)の約1/3であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リン酸カルシウムセメント内にイオン半径の大きなバリウムの導入を試みた結果,α―TCPでは,硬化時間は非常に長く,硬化しないことは,実験の結果わかった。そこで,β-TCPに粉末基剤を変更し,アモルファス化を試みた。現在,アモルファス化したTCPの特性を検討している。従来のTCPセメントよりも圧縮強さ,間接引張強さ,硬化時間,注入性等を検討した。イオン導入実験は行っていないものの概ね良好な研究進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
アモルファス化したTCPの生体内での挙動を検討する。吸収性を持つ場合には,吸収性を促進するようイオン半径の大きなバリウム,ストロンチウムのイオン導入試験を行う。一方,吸収性を持たない場合には,より高強度のTCPの完全硬化体を目指し,CaHPO4やCa4(PO4)2Oを混合し,機械的性質を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の繰り越し金に使用し研究を効率よく遂行したため,繰り越し件が生じた。また,資料作成等のための研究補助員が予想以上に集まらなかったため,当初計画から次年度繰越金が発生した。 1。動物実験による生体親和性の検証,2.生体骨への置換の検証,3.次年度繰越学は,細胞培養試験での遺伝子解析に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)