2013 Fiscal Year Research-status Report
新たに発見されたチタンエイジング現象の網羅的解析と解決のための回復方法の探求
Project/Area Number |
24592971
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
堀 紀雄 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (20386832)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 克彦 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70205011)
大野 晃教 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00611633)
小田切 憲 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60350534)
|
Keywords | チタン / エイジング / インプラント / 表面性状 / 濡れ性 / オッセオインテグレーション / インプラント骨接触率 |
Research Abstract |
<本研究の目的>チタン材料は生体親和性の高い生体材料として医科、歯科医療領域に広く使用されている。特にインプラント治療は年々需要が増加しているが、それに伴い失敗の増加や、骨が不足し施術が出来ない場合が増えてきており、より活性の高いチタン表面が必要とされている。これまで我々は、チタン表面加工効果以上に、表面が加工されてからの時間経過により表面性状、生物学的応答が変化することを報告してきた。特に、表面加工後から物理的、化学的変化は顕著であり、この変化が、生物学的応答と関連があるかどうか検討を行ってきた。その結果、タンパク吸着能、細胞接着能試験では、時間経過とともに有意な現象を示した。本年度は、in vivoレベルにおいて生体内での骨形成に表面加工後の時間経過における表面が、どのような影響を与えるか検証を行った。 <本年度の研究成果>チタン表面加工後からの時間経過により表面特性が生じ、それに伴うインプラント周囲の骨形成能が低下することを確認した。表面加工後からの時間経過によってインプラントー骨接触率は、加工直後の表面を用いた場合、約90%であったのに対し、4週経過した表面では、約62%となった。また、それに伴うインプラントー骨結合力は、加工直後の表面では、4週経過した表面より1.5倍から2倍の差が認められ、時間経過により加工されたチタン表面は、骨形成能力が低下していることが認められた。 現在、チタン表面は、時間経過により表面特性が変化せず、骨形成能力は変化しないという推測の上でインプラントは使用されている。しかしながら、表面作成後時間経過により、表面特性のみならず、生体内の骨形成にまで影響を与えることから、今後、さらなるメカニズムの解明とチタン自体が本来持っている骨形成能力を最大限引き出す取り扱いが重要になってくると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究達成目標は、チタン表面の時間経過によって変化する表面の物理的、化学的性状が、生体内でのインプラント周囲に形成される骨形成能に影響を与えるかどうか検証することとしていた。本年度の検証結果として、表面特性の変化に伴う生体内での骨形成量、特にインプラント周囲に形成されるインプラント骨接触率、結合力の変化を捉え、各条件下において詳細に検証を行い、まとめることが出来ている。これに加え、表面改質方法としての光テクノロジーを応用した光照射による検証も平行して行うことが出来ており、時間経過により、表面の骨形成能力が低下した表面に光照射として様々な特徴を持つ複合波長を用いることにより、時間経過した表面が、加工直後と同等の性状を示し、同時に骨形成能力が回復することを検証している。この光照射により生体内での骨形成能力が向上し、インプラント骨接触率、結合力に有意な差を認めた。次にアプリケーションの応用、光照射の条件設定の確立を開始しているところである。 以上のことから、本年度研究目標は全て達しており、次年度に向けて新たな所見を見出すべく取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の研究目標の達成度から、現在の手法、進め方は特に問題ないと思われる。さらに研究内容を充実させ、より詳細に明らかにするために共同研究機関との情報交換や意見を求め、検証方法を多角的に検証できるよう進めていく予定である。 今年度は、ラットなどの小動物を使用し、生体内での骨形成能を検証していくことを中心に行う予定である。生体内での骨形成能力の検証として、インプラント骨接触率、インプラント骨結合力を組織学的、力学的に検証することによって、生体内での影響を明らかにすることを目的としている。また、基礎的なin vivoの検証だけでなく、この現象を応用したアプリケーションの応用も検討していくこととしている。具体的には、骨造成用のチタンメッシュ材料や、外科、矯正用の固定スクリューなどへの応用も視野に入れ、検証していく予定である。同時に進めている光照射の影響についても同様の条件で行い、生体材料の本来持っている骨形成能力を最大限引き出す条件について検証を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)