2015 Fiscal Year Annual Research Report
唐辛子辛味成分カプサイシン受容体の遺伝子多型と口腔疼痛症候との関連
Project/Area Number |
24592994
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉住 潤子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (40596376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 瑞穂 佐賀大学, 医学部, 教授 (60253457)
大山 順子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70294957)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TRPV1 / BMS / SNPs |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、器質的変化がないにもかかわらずひりひり、ぴりぴりとした灼けるような自発痛を訴えるBurning Mouth syndrome (BMS) 患者が増加している。これらの訴えが唐辛子を食した時の感覚に似ていることに着目し、BMSと唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの受容体:TRPV1( transient receptor potential channel vanilloid subtype 1 ) の一塩基多型(single nucleotide polymorphism : SNP)との関連を調べてきた。 TRPV1のSNPは数多くが報告されているが、小児喘息や関節炎の症状の増悪との関与が示唆されているTRPV1 1911A<G (rs8065080) に着目することとした。BMS患者のうち祖先型1911 Aアレルを有する群は派生型1911 Gアレルを有する群に比較して医療機関を受診するまでの病悩期間が短いなど臨床データに有意な差があることがわかった。 また健常者において遺伝子多型毎に6種類の濃度のカプサイシン溶液で刺激感知閾値を測定したところ、1911 Aアレルを持つ被検者では閾値が有意に低く、低い濃度で感知できること、カプサイシン刺激に対する感覚が鋭敏であることがわかった。さらにBMS患者群では健常群に比べ明らかにこの1911 Aアレルを保有する頻度が高いことが判明し、痛みの感受性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 これらの結果からTRPV1が口腔におけるカプサイシン感受性を制御する機能的なチャネルとして働いていることが明らかになると共に、BMSの病因遺伝子の一つであることが示唆された。
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