2012 Fiscal Year Research-status Report
中枢性鎮痛作用のあるGABA誘導体の全身麻酔への応用-麻薬依存型麻酔からの脱却-
Project/Area Number |
24593058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
怡土 信一 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00315095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | GABA誘導体 / 静脈麻酔薬 / 中枢神経系 / シナプス前神経終末 / 鎮痛 / 全身麻酔 / 静脈内鎮静法 |
Research Abstract |
本研究の第一のテーマである「全身麻酔および静脈内鎮静法における麻酔深度、循環動態、術中術後鎮痛に及ぼすGABA誘導体の効果」について、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会へ臨床研究実施のための申請書類を提出中である。臨床研究上必要となる被験者の保険について確認中である。本臨床研究の研究協力者として九州大学大学院歯学研究院歯科麻酔学分野の加留部紀子を選出した。 中枢神経系における全身麻酔薬の効果は、シナプス後膜側のみならず、シナプス前神経終末部からの伝達物質放出にも影響を及ぼすことが関与している、という理論に本研究計画は基づいている。ラット海馬ニューロンのシナプス前神経終末部におけるグルタミン酸によるカルシウム上昇を静脈麻酔薬であるプロポフォールが濃度依存性に抑制することを2012年3月にThe International Federation of Dental Anesthesiology Societiesにおいて発表したが、現在、発表内容について論文投稿するべく執筆中である。 麻酔管理にGABA誘導体を併用することは、全身麻酔薬の使用量を減少させる可能性がある。特に、日帰り全身麻酔においては、速やかな覚醒と、悪心嘔吐やふらつきなどの術後合併症を減らすことが重要である。九州大学病院歯科における日帰り全身麻酔の現状について、第40回日本歯科麻酔学会総会・学術集会において報告した。特に、小児症例の術後合併症について日本小児麻酔学会誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.「全身麻酔および静脈内鎮静法における麻酔深度、循環動態、術中術後鎮痛に及ぼすGABA誘導体の効果」に関する臨床研究について、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の承認を得るための申請書類の修正を再三繰り返した。これは、研究手法に関する前例がなかったため、臨床研究倫理審査委員会のメンバーと何度も事前連絡、打ち合わせを行ったためである。現段階では、申請書類は完成し、提出済みである。 2.研究協力者の選考に時間を要した。これは、本研究では麻酔管理に習熟した者が担当し、安全に研究を遂行することが必要とされており、その適任者を決定するのが容易ではなかったからである。最終的に、九州大学大学院歯学研究院歯科麻酔学分野の加留部紀子を選出した。 3.臨床研究上必要となる被験者の保険について、予算の出所を事務と協議中であるため。複数年にわたる保険の支払いが科学研究費ではできないとされたが、基金分での支出の可否について検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会に申請中の研究実施法要旨は、次のようになっている。倫理委員会の承認後、速やかに実施予定である。 (1)研究目的:GABA誘導体による中枢神経抑制作用を利用した麻酔法を開発するため、ガバペンチンおよびプレガバリンと麻酔薬の併用による有効性。(2)被験者の選択:①対象 健康ボランティアで具体的には九州大学病院職員および九州大学大学院歯学府大学院生を予定。②適格基準:ASA術前状態分類Class1、20代~30代の男女で、試験終了帰宅後も速やかに九州大学病院に受診できる範囲に居住している者。③除外項目:使用薬剤及び含有物質にアレルギーの既往のある者、慢性疼痛疾患患者、GABA誘導体を内服者、口腔内に急性疼痛を発症する可能性の歯科疾患を有する者、研究担当者が不適切と判断した者。(3)使用する試験薬剤:①ガバペンチン(プラセボ、ガバペンチン200mg、ガバペンチン400mg)、②プレガバリン(プラセボ、プレガバリン100mg、プレガバリン200mg)。(4)実施方法:①試験実施場所:九州大学病院歯科麻酔科外来、②試験薬剤の投与方法:第三者によって割り付けされた内服量を朝8時に歯科麻酔科外来で内服してもらう。③静脈麻酔:薬剤が最高血漿中濃度に達する時間経過後、プロポフォールによる静脈内鎮静を開始する。プロポフォールの一定血中濃度は、0.0~3.0μg/mlの範囲で順次変化させ、呼吸抑制に十分配慮し、1時間麻酔管理を行う。プロポフォール中止後は、覚醒までにかかる時間を観察する。④観察項目:BIS値、循環動態(血圧、脈拍)、呼吸数、動脈血酸素飽和度、Ramsay鎮静スコア、Mackenzie鎮静スコア、疼痛刺激(口腔内粘膜下注射による生理食塩水注入)後の体動・覚醒の有無、術後疼痛(VASスケール)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①平成24年度中に実現できなかった臨床研究に要する被験者の保険代,②ボランティア被験者に対する謝金(GABA誘導体1薬剤につき12名×3回、GABA誘導体は2薬剤を予定),③GABA誘導体(プレガバリン、ガバペンチン)購入費,④プラセボ用カプセル購入費,⑤薬剤服用のための溶解液(飲用)購入費,⑥静脈麻酔薬(プロポフォール)購入費,⑦BISモニター電極購入費,⑧研究成果報告のための学会費用および旅費(研究代表者、研究協力者)
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[Presentation] 中止・延期となった小児歯科日帰り全身麻酔症例の検討2012
Author(s)
全奈穂, 坂本英治, 加藤由美子, 加留部紀子, 今田弘記, 佐古沙織, 伊藤田翔子, 表武典, 塚本真規, 怡土信一, 藤原茂樹, 横山武志
Organizer
第40回 日本歯科麻酔学会総会・学術集会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
20121005-20121006