2012 Fiscal Year Research-status Report
舌痛症発症に対するSatellite glial cellsの関与
Project/Area Number |
24593064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 正岳 日本大学, 歯学部, 准教授 (10231896)
田邉 奈津子 日本大学, 歯学部, 准教授 (10409097)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 教授 (60160115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 舌痛症 / TRPV1 / Artemin / 熱痛覚過敏 |
Research Abstract |
舌痛症は、舌に炎症や腫瘍などの器質的な変化が認められないにもかかわらず痛覚異常を生じる疾患である。本研究では2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid (TNBS) 舌投与により舌痛症モデルマウスを作製し、同モデルに生じる舌熱痛覚過敏に対するArtemin の役割について検討した。 C57/BL6雄性マウス(7w)の舌背にTNBS (10 mg/ml, 1h)を投与すると、投与後1日目より舌背に熱痛覚過敏が生じた。TNBS舌背投与後5日目、舌に組織学的変化は認められなかったが、舌背粘膜においてArtemin発現量が増加し、抗Artemin中和抗体およびTRPV1アンタゴニスト(SB366791)の投与により舌背の熱痛覚過敏が抑制された。また三叉神経節における舌投射Artemin 受容体(GFR3)陽性かつTRPV1陽性神経細胞数が増加した。さらにArtemin舌投与後5日目に舌背に熱痛覚過敏が生じ、SB366791の舌投与により舌背の熱痛覚過敏が抑制された。 以上の結果から、TNBS舌背投与により生じる舌背の熱痛覚過敏は、舌背粘膜で増加するArteminによる舌投射ニューロンにおけるTRPV1の増加が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、交付申請書に記載した「研究の目的」に沿っておおむね順調に研究が進んでいる。その成果を日本疼痛学会をはじめいくつかの学会にて発表している。また関連論文として、Group cognitive-behavioral intervention for patients with burning mouth syndrome.J Oral Sci. 2013;55(1):17-22.も出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究の目的」に沿って今後も研究を推進する。 ATP受容体アゴニストの三叉神経節内投与による行動薬理学的解析 あらかじめ頭頂部よりカニューレを刺入し三叉神経節内に留置し、ATPもしくはP2Y受容体アゴニストであるADPを三叉神経節内に連続投与する。投与開始後1日、7日、14日目に浅麻酔下にて機械的および熱刺激に対する逃避閾値の計測を行い、ATP受容体アゴニストの三叉神経節内連続投与により痛覚過敏がおこるかを検索する。薬剤を確実に三叉神経節内に頭蓋骨上より投与するためには脳定位固定装置が必須であり、設備備品費に計上した。 三叉神経節の活性化satellite cellの解析 あらかじめ逆行性トレーサーであるFluoro goldを舌に投与し、TNBS塗布後1日、7日、14日目に潅流固定を行い、三叉神経節を摘出する。Glial fibrillary acidic protein (GFAP)をSatellite cellのマーカーとして用い、免疫組織化学的手法にて活性化Satellite cellを定量する。さらに、三叉神経節におけるP2Y受容体の局在を確認する。本教室ではさまざまな疼痛モデル動物を使って三叉神経節の免疫組織学的染色および定量解析がルーチン化している。本教室ポストドクター(2名)、大学院生(5名)とGFAPの免疫組織学的染色および解析を分担して行い、効率的に解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、ATP受容体アゴニストの三叉神経節内投与による行動薬理学的解析のため三叉神経節内への薬物投与が必要である。そのため、あらかじめ設備備品費に計上した脳定位固定装置を購入予定である。 今年度に実験予定にあった組織染色がすこし遅れたため、次年度に抗体を購入し実験を進める。
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