2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔ケアによる上部消化管癌予防の試み~アセトアルデヒドの産生抑制を介して~
Project/Area Number |
24593154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横井 彩 岡山大学, 大学病院, 医員 (00612649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 玲子 岡山大学, 大学病院, 助教 (00379760)
柏崎 晴彦 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10344516)
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
山崎 裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (90250464)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 上部消化管癌 / アセトアルデヒド / 予防 / 頭頚部癌 |
Research Abstract |
平成24年8月28日~平成25年3月31日に岡山大学病院予防歯科を受診し、本研究に同意を得られた上部消化管癌患者25名と、ボランティアで参加した健常者5名を対象とした。このうち、1カ月以内に抗生剤を服用した者1名、測定日前日にアルコールを服用した者1名を除外し、上部消化癌患者23名、健常者5名について比較検討を行った。 初診時の評価項目は、年齢、性別、癌の部位、口腔内アセトアルデヒド濃度、アルコール代謝酵素の表現型、舌背のカンジダ(C.albicans,C.krusei,C.tropicalis)菌量のレベル、菌種数、現在歯数、口腔清掃状態、歯周病進行状態、歯磨き回数、歯磨き時間、喫煙習慣、飲酒習慣とした。 結果は以下のとおりである。初診時の口腔内アセトアルデヒド濃度は、上部消化癌患者において健常者よりも高い傾向が認められた(t検定、有意差なし)。また、上部消化癌患者では、口腔内のアセトアルデヒド濃度と舌背から採取したカンジダの菌量のレベルとの間に、有意な正の相関が見られた(Spearmanの相関係数、p<0.05)。上部消化癌患者において口腔内アセトアルデヒド濃度が健常者よりも高い傾向にあったことから、口腔内のアセトアルデヒド濃度と上部消化管癌との関連が示唆された。 さらに、上部消化癌患者23名のうち10名について、口腔内アセトアルデヒド濃度、舌背のカンジダ(C.albicans,C.krusei,C.tropicalis)菌量のレベル、菌種数、口腔清掃状態、歯周病進行状態を、口腔ケアの前後で比較した。その結果、口腔ケア後には、10症例中7症例で口腔内アセトアルデヒド濃度の減少が認められた(t検定、有意差なし)。口腔ケアを実施することで、口腔内アセトアルデヒド濃度が減少する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
横断調査における症例数の収集において、癌患者、健常者ともに30名を予定していたが、現時点で癌患者24症例、健常者5症例と予定人数に達していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数の確保が急務である。平成24年度は、倫理委員会への申請書の作成遅延や、癌患者に対する診査体制、健常者への研究協力についての広報に不備が認められた。そのため、症例数の収集が軌道にのるまでに、時間がかかり、短期間での症例収集となった。平成25年度は、この遅れを取り戻すべく、より多くの癌患者の症例収集を行う。一方、健常者群を増やすために広報が必要であるが、予防歯科診療室にこられる外来患者へひろく広報する体制を作ることにより、より多くの健常者の症例数を増やす予定でいる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、研究方法の具体的な内容を検討することに重きをおき、症例の収集も岡山大学病院内にとどまった。結果、北海道大学での実質的な研究は遅延しており、平成25年度の研究課題として、多施設での症例収集を検討している。平成24年度の繰り越し金を、平成25年度予算に組み込み、岡山大学だけでなく、北海道大学でも平行して症例の収集が行なう予定である。そのためにも、北海道大学で口腔ケアに実際にあったている、秦先生を新たに研究分担者に追加させていただいた。
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Research Products
(4 results)