2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔ケアによる上部消化管癌予防の試み~アセトアルデヒドの産生抑制を介して~
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24593154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横井 彩 岡山大学, 大学病院, 医員 (00612649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 玲子 岡山大学, 大学病院, 助教 (00379760)
柏崎 晴彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (10344516)
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90250464)
秦 浩信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70450830)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上部消化管癌 / アセトアルデヒド / 舌苔 / 口腔ケア / 予防 / 頭頚部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年8月~平成26年12月に、岡山大学病院予防歯科を受診し、本研究に同意を得られた上部消化管癌患者73症例と、健常者111症例について、口腔内診査、および口腔内アセトアルデヒド測定を実施した。具体的には、横断調査として、癌患者46症例、健常者85症例を、また、縦断調査として癌患者20症例、健常者26症例について、評価項目の測定を実施した。 評価項目は、年齢、性別、癌の部位、口腔内アセトアルデヒド濃度、アルコール分解酵素の表現型、舌苔の付着面積、舌背のカンジダ菌の菌量レベル・菌種数、現在歯数、口腔清掃状態、歯周病進行状態、歯磨き回数・時間、喫煙・飲酒習慣とした。 横断調査の結果では以下のことがわかった。舌苔の付着面積が小さい(舌全体の1/3以下)者の口腔内アセトアルデヒド濃度の中央値が100ppbであったのに比べて、舌苔の付着面積が大きい(舌全体の2/3以上)者の濃度は407.0ppbと、統計学的に有意に高かった。癌患者と健常者の間で、口腔内アセトアルデヒド濃度に差はみられなかった。しかし、舌苔付着面積が大きい(舌全体の1/3以上)被験者間で比較すると、健常者(308.8ppb)よりも癌患者(1191.2ppb)のほうが、統計学的有意にアセトアルデヒド濃度が高かった。縦断調査では、舌清掃を中心とした口腔ケアによって、癌患者20人中12人に、健常者26人中17人に、アセトアルデヒド濃度の減少がみられた。得られた結果について、学会で発表を行い、論文にまとめた。 以上のことから、舌苔の付着の付着面積と、口腔内アセトアルデヒド濃度に関連があり、舌苔の除去を目的とした口腔ケアによって、口腔内アセトアルデヒド濃度が減少することが確認できた。アセトアルデヒドには発癌性が指摘されていることから、舌清掃で発癌性物質を減少させることにより、癌が予防できるかもしれないという可能性が示された。
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Research Products
(2 results)