2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内に侵入した歯周病原性細菌の病原性機構とその侵入細菌の除去薬剤の検索
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24593165
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
安井 利一 明海大学, 歯学部, 教授 (20146252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 准教授 (70236454)
岡本 和彦 明海大学, 歯学部, 准教授 (50271234)
高野 安紀子 明海大学, 歯学部, 講師 (20337504)
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Keywords | 歯周病原性細菌 / 口腔上皮細胞 / 細胞内侵入 / IL-6 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
成人性歯周疾患は、Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)の慢性感染により発症する難治性疾患であり、骨吸収活性を有した炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-alpha、並びに、IL-6)が、密接に関与している。最近の研究は、本菌が口腔粘膜上皮細胞内に侵入することを報告しているが、細胞内侵入による歯周組織の破壊メカニズムは、完全には明らかになっていない。 そこで、P. gingivalis 33277株の口腔上皮細胞様細胞であるKB細への細胞内侵入によるIL-6の発現について検討した。P. gingivalisは、KB細胞のIL-6遺伝子発現を強く誘導し、上清中のIL-6量も増加した。KB細胞のIL-6遺伝子発現は、P. gingivalisの菌量に依存的して、上昇した。細胞内侵入阻害剤であるCytochalasin DとNocodazoleは、本菌誘導性サイトカインを阻害した。P. gingivalis誘導性 IL-6遺伝子発現は、NFkappa-B阻害剤であるPDTC、NAC、並びにGliotoxin処理により、抑制されなかった。その誘導作用は、MAP kinaseの一つであるp38の阻害剤SB202190により特異的に阻害された。p38の活性化剤アニソマイシンは、このサイトカイン発現を強く誘導した。 これらの結果から、P. gingivalisは、口腔上皮細胞内に侵入し、その細胞の炎症性サイトカインを強く誘導するなどの生物活性を示すことが明らかとなり、その誘導には、MAP kinaseが関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養の不具合等に見舞われ、また、研究代表者の置かれている環境が、非常に多忙であるため、研究の遅れが心配であったが、最終的には、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔上皮細胞様細胞であるKB細への細胞内侵入によるIL-6の発現に関する情報伝達にMAP kinaseが関係することを示した。今後、P. gingivalisが、骨芽細胞に及ぼす影響を検討する。また、可能であれば、P. gingivalisが、口腔上皮細胞様細胞のプロスタグランジン産生に及ぼす影響についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験が思ったより効率よくできたため。再実験の回数も少なくすることができた。また、試薬も、計画より、安価なものを手に入れることができた。一方、より深く検討するための時間が不足したことも事実である。そのため、次年度使用額が生じた。 口腔上皮細胞様細胞であるKB細への細胞内侵入によるIL-6の発現に関する情報伝達にMAP kinaseが関係することを示したので、この点をより掘り下げて検討する。また、今後、細胞培養とP. gingivalisの培養系が不安定になることが多々あり、実験遂行に支障があった。そのようなことがないように、実験方法や実験機器の見直しや改善を行うことの必要性も感じている。
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Research Products
(2 results)