2013 Fiscal Year Research-status Report
応急仮設住宅居住高齢者のストレス応答反応,環境,眠りの関連と包括的睡眠ケアの構築
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24593191
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 君枝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80274059)
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Keywords | 災害 / 看護 / 睡眠 / 応急仮設住宅 |
Research Abstract |
本年度は,引き続き福島県内の応急仮設住宅地域を定期訪問し,避難者を対象に生活や健康に関する相談会や交流,講話の場を持ち,睡眠状況を継続把握した.また,応急仮設住宅居住者と一般住民の睡眠に関する量的記述的調査の分析を行った. 1. 量的記述的調査による睡眠評価 2012年9月~11月,避難者113名(以下,避難者群)と被災地域外の一般住民28名(以下,一般群)を調査対象とし今年度比較分析を行った.調査内容は,年齢,性別,家族構成,就業状況,被災状況,受診状況,身長,体重,飲酒状況,応急仮設住宅の不便,ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),K6質問票であった. PSQI総合得点は避難者群が平均8.9±3.5点,一般群が平均5.4±2.9点で(p=0.009),K6スコアは避難者群が平均12.9±5.9点,一般群が平均8.9±3.9点で(p=0.001)でいずれも避難者群の症状が有意に強かった.PSQI総合得点とK6スコアの相関係数はr=0.337(p=0.033)であった.睡眠障害の特徴は,睡眠の質の低下,睡眠効率の低下,入眠時間の延長であると推測された.また,PSQI総合得点と居室,風呂,トイレ,買い物の不便が関連していた.避難に伴う心身の不調や疾患,生活環境が睡眠の悪化に影響していた. 2. 眠りの質的評価 2013年6月から12月までの参加者数は35名,延べ100名であった.初診時,平均起床時間は5時27分±10分,就寝時間は20時55分±93分で早起きの方が多く,実睡眠時間は平均8時間32分であるが,自覚している睡眠時間は平均7時間8分であり,実睡眠時間より短かった.寝つきが悪い,2時間毎に目覚める,熟睡できない,眠れないなどの訴えがあった.睡眠状況について「悪化している」3名(9.1%),「変わらない」22名(66.7%),「改善している」8名(24.2%)であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査を実施した.避難者との関係性は構築されてきたが,生理学的調査や免疫学的調査の対象者は十分に得られなかった.しかし,定期訪問により継続把握している避難者の生活背景や睡眠状況から関連要因の分析が可能となり,また,量的記述調査では成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたデータを統合評価し,文献検討を行いながら,福島県内の応急仮設住宅居住者の睡眠評価について雑誌論文として公表する.避難者の帰還が遅れており,睡眠障害の把握やケアの方法論は支援に必要であると考えられ,本研究の関連資料やアウトプットは被災地域の専門職活動の一助となる.
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Research Products
(2 results)