2012 Fiscal Year Research-status Report
地域包括的視点に基づく看護管理学の創出に向けたアクションリサーチ
Project/Area Number |
24593217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
吉田 千文 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (80258988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雅子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (30459242)
伊藤 隆子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (10451741)
雨宮 有子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (30279624)
亀井 縁 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (90624487)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 看護管理 / 地域看護 / ソフトシステム理論 / アクションリサーチ / 概念創出 |
Research Abstract |
1.ソフトシステム方法論(以下、SSM)を基盤としたアクションリサーチの文献検討と内山研一氏の講義により方法論を研究者間で共通理解した。専門家である内山氏、鈴木氏から、継続的に支援を得ることとした。 2.研究実施計画を立案した。a)研究者チーム、b)看護管理実践者と研究者のチーム、c)現場の看護職チームのそれぞれで、当該地域の看護や看護管理についての「思い」を本音で議論するワークショップ(以下、WS)を繰り返し開催し、研究者がWS毎のリフレクションで得る「気づき」を集約させることにより、研究目的である「地域包括的視点に基づく看護管理学」のコンセプトを創出する。 3.医療連携への問題意識が高く研究者と良好な信頼関係があることを基準に研究フィールドを選定し、関東地方のA二次医療圏とした。研究倫理審査委員会の承認後、当該地域の保健センター、県看護協会地区部会、訪問看護ステーション連絡協議会、基幹病院、地域包括支援センター、市町村、市町村ケアマネジャー協議会に研究参加依頼を行った。全域から病院7施設、市町村地域包括支援センター4施設、訪問看護ステーション5施設、老人保健施設1施設が研究に参加した。 4.WSを次のとおり実施した。a)研究者WS(8月・11月)→b)実践者・研究者WS(12月)→a)研究者WS(12月・1月・2月)→b)実践者・研究者WS(2月)→a)研究者WS(3月)。実践者・研究者WSの参加者は39人、平均年齢49.7±6.63歳、職位は看護師長35.9%、看護部長10.3%であった。 5.全8回のWSから、地域包括的視点に基づく看護管理学のコンセプトは、「看護職同士、施設同士、あるいは病院と地域をつなげること」が、「看護職が病院と地域とが自然に出会える場をつくること」を経て、「一人ひとりの住民と地域のセルフケアに関わり続けること」に変化してきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに研究者らが看護管理者と現場改革や研究において関係を構築し信頼関係ができている地域を研究フォールドとして選定したこと、病院看護師、訪問看護師、保健師、ケアマネジャーの実務経験があり現場の状況を熟知している研究者で構成される本研究チームが分担して研究協力を依頼したことで、施設および関係者の研究協力をスムーズに得ることができた。 また、研究協力者の地域医療連携についての関心が高く、ワークショップではこれまで同じ地域にいながら顔を合わせることのなかったさまざまな看護職が一同に会することで、地域の看護についての議論が本音で行われ、参加者にとっても研究者にとってもそれぞれの問題意識にこたえる意義ある気づきが得られている。 さらに、本研究で採用しているSSMを基盤としたアクションリサーチの専門家である内山氏、鈴木氏の支援を得ることで、充実したワークショップを実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が進むにつれ研究チームは研究方法の理解が深まり、WSとその後のリフレクションを効果的に行えるようになってきている。引き続き内山氏、鈴木氏の支援を得ながら、今後は、c)現場の看護実践家チームでのWSへ研究を進める。 平成25年度は、A二次医療圏内の3地区で、平成24年度開催WSに参加した看護管理者と協働し、現場の看護実践家チームによるミニWSを各地区2回(7-9月、10-12月)開催する。各地区のWS開催においては、研究チーム全体でWSのテーマ、方法、調整方法について合意し、各地区の担当者が中心となって現場の看護管理者との相談・調整を進める。メールを用いて進捗状況を共有し、研究代表者と研究者チーム全体でWS開催に向けて支援する。WS当日には全研究者が参加する。 また年度末(2-3月)には、全域の看護管理者と研究者のWSを現地で1回開催する。研究代表者が中心となって参加依頼およびWS開催準備を全員で行う。 学術集会インフォメーションエクスチェンジを利用し、研究参加者へ研究成果を公共の場でリフレクションするとともに、他の地域の看護管理者、看護管理学研究者に成果を公表し意見を得て、研究成果に組み入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現場の看護実践家チームによるミニWSを3地区で各2回、合計6回開催する。開催にあたっての打ち合わせは、当該地区の担当研究者と研究代表者が現地へ赴き行う。また当日のミニWSには本研究の研究者チーム全員が参加する。これらの旅費を支出する予定である。 また年度末にはA地域全体での看護管理実践者と研究者のWSを現地で1日かけて行う。参加者への謝礼、および研究者の旅費を支出する。 研究者WSは、ミニWSと看護管理実践者と研究者のWSの前後に合計5回、研究代表者の所属大学で開催する。旅費を支出する。 これまで使用していたパソコンは研究代表者の所属機関の異動で使用できない状況となる。WS時のプレゼンテーション、記録、データ整理など必須であり、ノートパソコンを整備する。 さらに、方法論の専門家から継続的支援を得るため、専門的知識の提供に対する謝礼を支払う。WS開催時の記録、データ整理を行うアルバイトの謝金を支出する。
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