2012 Fiscal Year Research-status Report
味覚変化を抱える外来化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発
Project/Area Number |
24593310
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
狩野 太郎 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (30312896)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 味覚変化 / 化学療法 / がん看護 / タブレットPC / 支援システム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、味覚変化を抱える化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発と対処法ナレッジデータベースの構築である。 H24年度は、味覚変化症状と対処能力の評価に用いるタブレットPC用評価システムを構築した。まずはじめに、無料クラウドサービスを利用したiPad向けの評価システムを構築し、患者から研究者のクラウドサーバーに回答データが送信され、研究者がデータをダウンロードして回答結果グラフと対処法アドバイスをメールで回答する方式を考案した。次に、ネットワーク接続や、患者に対する研究者の個別対応が不要なタッチパネル入力によるWindows向けの評価シートと、これに連動して結果グラフと効果的な対処法を表示するシステムを構築した。 ネットワーク接続やメールによる個別対応が必要なiPad版と、入力からグラフ化、対処法の提示までを自動化して瞬時に行うWindows版について、患者モニターと学会参加中の看護師から以下の意見を得た。1)10.1型のWindows版タブレットPCでは文字が細かく入力がしにくい。2)iPad版は文字が鮮明で入力しやすい。3)患者の立場からは、グラフやアドバイスは画面で見るより紙に印刷して持ち帰れる方がありがたい。4)看護師の立場からは、院内でのネットワーク接続環境の整備や情報セキュリティー面でiPad版の導入は難しい。 以上をふまえ、今後はiPad版の入力しやすさとインターネット接続が不要なWindows版の利点を兼ね備えたシステム開発を検討したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、ネットワーク接続やメールによる個別対応が必要なiPad版と、入力からグラフ化、対処法の提示までを自動化して瞬時に行うWindows版を構築し、患者モニタや看護師から使用感や改善点についての評価を受けた。 iPad版の入力システムは、無料のクラウドサービスであるGoogle Driveの Form機能を利用したタッチパネル上のラジオボタンで回答できるものである。インターネット接続環境があれば、iPadだけでなく、Windows上でも回答が可能である。ただし、現状のシステムでは回答結果をレーダーチャートで示したり、回答結果に応じて対処法解説文章を表示することができないため、e-mail経由による研究者からの回答が必要である。個別的で専門的な対応や対処法に関する情報収集がしやすい反面で、マンパワー上の問題や、e-mailアドレスを知られたくないと思う患者には利用しにくいという欠点が明らかとなった。 一方、Windows版の入力システムでは、MS-Excelに装備されているラジオボタン入力機能を利用してタブレットPC上で入力作業を行い、別のシートに入力結果のリンクと計算式および計算結果を参照するレーダーチャートを設定した。さらに別のページには、計算結果の値に応じて文字列を表示させるよう、条件付書式を設定した。Windows版入力システムで収集したデータを、日付情報の入ったファイル名で保存してゆけば経時的な症状変化の把握が容易となり、対処法の評価に役立てることができる。しかし、今回使用した10.1型のタブレットPCでは文字が小さく不鮮明であるため、大型画面を持つ機種への変更などの課題が残った。また、患者と研究者が直接e-mailによる情報交換を行わない場合、対処法ナレッジデータベース構築に向けた情報収集方法を新たに工夫する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、入力しやすいタブレットPC端末の検討を経て、評価・支援システムの運用を開始する。また、個別対応が必要な困難事例や、ユニークな対処法を採用している好事例については、研究窓口となる看護師の協力を受けてe-mailやソーシャルネットワークサービスを利用して個別対応を推進してゆく。なお、当初は患者と研究者の直接交流を想定していたが、今後は担当看護師を介した個別対応も考慮してゆくこととする。 Windows版入力システムについては、H25年2月より、使用を希望する看護師に対し、使用マニュアルと共に無償配布を開始した。使用した感想など、詳しいフィードバックを受けて細部を見直し、本格運用を推進してゆきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用するタブレットPCの機種が確定しないため、備品費の一部をH25年度に繰り越しを行った。H25年度は機種を確定・購入し、支援システムの運用を開始する予定である。
|