2013 Fiscal Year Research-status Report
味覚変化を抱える外来化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発
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24593310
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
狩野 太郎 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (30312896)
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Keywords | 化学療法 / 味覚変化 / 対処法 / ナレッジデータベース / タブレット端末 |
Research Abstract |
平成25年度の前半は、これまでの研究成果を統合し、化学療法に伴う味覚変化を抱えるがん患者の食事の工夫に役立つナレッジデータベースを整備し、症状に合わせた対処法に関するスムーズな情報提供方法を検討した。 平成25年度後半は、化学療法に伴う味覚変化を体験しているがん患者を対象に、個々の患者が症状にあわせて取り入れている対処法や症状に対する適応プロセスの実態について面接調査を開始した。データ収集と平行して面接結果を質的帰納的に分析し、治療後の時間経過にあわせて行っている工夫、初めて症状を自覚してから自分なりの対処が身につくまでの過程を類似性により分類、カテゴリ化を行い、今後の患者指導に活用できるよう、ナレッジデータベースに情報を追加してゆく予定である。 本研究は、味覚変化を抱える外来化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発を目的にしているため、上記のコンテンツ開発に加えての院内のICT環境や現実的な利用方法について、がん看護関連学会・研究会において外来化学療法室担当看護師10名に聞き取りを行った。この結果、1)氏名や生年月日などの個人情報が含まれない味覚変化症状に関する情報であっても治療室からインターネット環境に送信することはためらわれる、2)PCに比べて操作がしやすいタブレット端末であっても患者の年齢層を考えると一人で使用できる者はかなり限定される、などの意見があった。また、3)タブレット端末を使った症状アセスメントや情報提供については看護師の援助の下に行い、対処法資料は紙媒体でも配布する、4)院外研究者へのアドバイス要請については、患者本人ではなく看護師経由の方が現実的である、との意見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、ICT技術を活用して電子メールや簡易テレビ電話会議システムを利用して患者と研究者間でダイレクトなコミュニケーションを行う予定であったが、個人情報保護に対する病院側の懸念が大きいことと、PCよりも操作がしやすいながらも現状ではタブレット端末を使用できる患者が少ないことから、この点は計画通りには進んでいない。ただし、ICTを活用する上での課題を明らかにしながら現実的な活用を進めてゆくことこそが本研究の使命でもあるため、全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以上を踏まえ、研究期間の残り2年間を使って以下の内容を中心に研究計画を推進してゆく予定である。 1)味覚変化症状を抱える外来化学療法患者に対する、タブレット端末を用いた症状アセスメントシステム構築に向けて、インターネット接続を経由しない形でのデータ収集システムの整備を行う。 2)外来化学療法室等で、患者が看護師と一緒に操作ができる簡便なアプリの選定とナレッジデータベースを中心としたコンテンツの制作を行う。 3)外来化学療法室担当看護師や普段からインターネットを活用している患者を対象とした味覚変化症状への対処法や生活の工夫に関する情報交換・交流サイトの整備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
回線契約基本料金を節約するため、研究の進捗状況を見ながらタブレット端末の購入・契約時期を検討していたため一部の研究費を次年度に持ち越すこととなった。 次年度に持ち越した研究費相当額でタブレット端末等の研究物品を購入し、26年度はおおむね計画通りに研究費を使用してゆく予定である。
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Research Products
(3 results)