2012 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣変容過程におけるストレングス測定尺度の開発に関する基礎的研究
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24593440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡久 玲子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80515619)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域看護学 / 保健指導 |
Research Abstract |
本研究は、生活習慣病予防のための保健指導に地域住民のもつ力や強さ(以下、ストレングス)の理論を導入するための基礎的研究であり、生活習慣の変容過程にある人々のストレングス測定尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検証することを目的とする。 平成24年度は、まず第一段階として、生活習慣の変容過程における地域住民のもつストレングスの内容について質的帰納的研究を行った。対象者は、30歳から60歳代の女性9名とし、インタビューガイドに基づく約1時間の半構造的面接を行った。面接内容を逐語録におこし、ストレングスに関する語りに注目した分類、カテゴリ化、命名を行った。分析の結果、生活習慣の変容過程における女性のもつストレングスは、男性を対象とした先行研究と同様、【長期的展望の中で自分の生き方をみつめる力】【人との関わりの中で自分自身の存在の価値を認識する力】【きっかけがあれば生活習慣の変容に向けて行動できるという自己認識力】【ストレスに対応しコントロールする力】【自分自身の生活や傾向を分析する力】【試行錯誤を繰り返し再構築してく力 】の6カテゴリに分類された。この研究成果は第71回日本公衆衛生学会総会(山口)にて発表した。 この後、男性を対象とした先行研究と、女性対象で年齢、職業などの背景を広げた当該年度に実施した研究成果をもとに、生活習慣変容過程におけるストレングス測定尺度原案の作成にとりかかった。対象者の背景を広げたことで、より普遍的なストレングスの内容を明らかにすることができたと考える。男女の分析結果はICN Conference 2013にエントリーし、査読の結果採択され平成25年5月に発表予定である。また、理論的枠組みの構築、尺度構成については尺度開発研究者に教育研究指導を受け、質問項目の作成においてはストレングスに関する先行研究論文や尺度開発に関する文献をもとに検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、生活習慣変容過程にある地域住民のストレングス測定尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検証することである。3年計画であり、まず第一段階として、平成24年度は、ストレングス測定尺度原案を作成することが目標であった。 当該年度に実施した質的帰納的研究では、生活習慣の変容過程における女性のもつストレングスの内容を明らかにすることができた。また、男性を対象とした先行研究結果との比較検討、分析により、生活習慣の変容過程における地域住民のもつストレングスについて再吟味し、普遍化を図った。このことより、ストレングス測定尺度原案の作成にあたり、妥当性のある質問項目を設定できると考えられる。 また、本研究結果に加えて、尺度開発研究者に教育研究指導を受け、さらに、質問項目作成にあたり、ストレングスに関する先行研究論文や尺度開発に関する文献をもとに検討を重ね、ストレングス測定尺度原案作成の準備を整えることができた。そして、質問項目の作成をすすめることができた。 予定では平成24年度中にストレングス測定尺度を完成させることが目標であったため計画以上に進展しているとはいえないが、以上のことより、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、5月にメルボルンで開催される国際学会25th International Council of Nursesにて、“INDIVIDUALS’STRENGTHS AND THEIR LIFESTYLE TRANSFORMATION PROCESS TOWARDS WELL-BEING”をテーマに、男性と女性を対象とした質的帰納的研究成果をまとめ、ポスター発表する予定である。 また、平成25年度は本研究計画における第二段階に入り、ストレングス測定尺度原案の完成後、専門家による批判的検討により、質問項目の内容や表現についての修正を行う。その後、修正した尺度原案を用いて、地域住民を対象に予備調査(アンケート調査)を行う。さらに、予備調査の結果をもとに、再度、質問項目の検討・修正を行い、本調査に用いるストレングス測定尺度を作成する。 平成26年度は、最終年度であり、ストレングス測定尺度の妥当性と信頼性の検証を行うため、地域住民を対象に本調査を実施する。その本調査の結果により検討・修正を加え、ストレングス測定尺度の最終項目を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成25年5月にメルボルンで開催される国際学会にて研究成果の発表を行うため、翻訳にかかる費用、学会参加費、旅費などを合わせ、約45万円の使用を予定している。国際学会では、研究成果発表だけでなく、学会での研究交流を通して、前年度に実施できなかった研究に関する情報収集も行いたい。国内の学会においては、修正したストレングス測定尺度原案を用いた予備調査の結果をまとめて、成果発表をする予定である。その際の、学会参加費、旅費に、5万円をあてる。 また、平成24年度に実施した質的帰納的研究について、学会誌への論文投稿を計画している。一次予防におけるストレングスに関して、総説も投稿する予定である。これら論文投稿にかかる抄録の翻訳、論文投稿費、別刷りなどの費用を含め15万円を予定している。 その他、専門家による尺度原案に対する批判的検討に関する謝金、研究協力者への謝金、図書・文献など設備備品費、予備調査に関わる通信費、文書印刷、等に使用する計画である。 なお、次年度への繰越額は、メルボルンでの国際学会における発表・情報収集時の費用の一部、及び論文作成時の参考図書・文献など設備備品に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)