2013 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣変容過程におけるストレングス測定尺度の開発に関する基礎的研究
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24593440
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡久 玲子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (80515619)
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Keywords | ストレングス測定尺度 / 生活習慣変容過程 / 信頼性 / 妥当性 / 保健指導 |
Research Abstract |
平成25年度は生活習慣変容過程におけるストレングス測定尺度(SMS)を開発し、その信頼性と妥当性を検証した。SMS原案(63項目)は平成24年度までに実施した先行研究(男性16人、女性9人対象の質的帰納的研究)結果をもとに作成し、尺度開発研究者1人と地域看護学分野の専門家3人により内容的妥当性の検証を行った。予備調査を経て提案されたSMS本調査版(38項目)を用いて本調査を実施した。成人1,339人対象に質問紙を直接配布し回収は任意提出とした。調査にあたり徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号1316)。 1,160部を分析対象とした(有効回答率86.6%)。SMS本調査版について探索的因子分析を行った結果、【活用】,【再構築】,【つながり】,【自己理解】の4因子36項目を採択しSMS最終版を作成した。Inner Strength Scale(スウェーデン), Inner Strength Questionnaire(アメリカ)との比較を行った結果、どちらの尺度も【つながり】,【自己理解】と同様の因子を含んでいた。SMSの【活用】,【再構築】は、認識面だけでなく行動面の力をも含んでおりInner Strengthと異なる側面を有していた。クロンバックのα係数はSMS全体で0.941、各4因子で0.876~0.926であった。SMSと修正版主観的健康管理能力スケール日本語版(PHCS)との相関係数0.495、精神的回復力尺度(ARS)とで0.520と、どちらも有意な正の相関が認められた。健康関連QOL尺度(SF-8)精神的健康との相関係数は0.222であった。SMSと生活習慣との相関係数は0.350、行動変容ステージとでは0.366であった。年齢との相関関係はなかった。以上の結果より、SMSの信頼性と妥当性を確認することができたと考える。 研究成果は、国際学会ICN 2013(メルボルン)でポスター発表を行い、女性対象の質的帰納的研究は論文にまとめた(JNI,12(2),平成26年3月発行)。SMS開発についての論文は、JMI,61(1, 2),平成26年2月発行に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度は、まずストレングス測定尺度原案(SMS原案)についての内容的妥当性検証のため、専門家による会議(グループインタビュー法)を開催し、批判的検討と修正を行う予定であった。しかし、平成24年度のうちに、本研究者が尺度開発研究者から教育研究指導を受ける機会を得たこと、また先行研究論文をもとに文献検討を重ねSMS原案作成の準備が整っていたことから検証方法を変更した。新方法により、平成24年度末から平成25年度初めに、尺度開発研究者1人と地域看護学分野の専門家3人の意見による内容的妥当性の検証を行った。質問項目の妥当性、質問への答えやすさ、及び質問文の明瞭性等について検討を重ね、SMS原案を作成した。 当初、平成25年度はSMS原案をもとに予備調査を実施し、その分析結果からSMS本調査版を作成するところまでを予定していた。しかし、20歳から64歳の成人207人(有効回答率76.1%)を分析対象とした予備調査では、I-T相関、天井効果・床効果の確認に続く探索的因子分析(主因子法、プロマックス回転)で、内容的に妥当な因子構造38項目-5因子の質問項目を選択できた。さらに、5因子間で互いに有意な正の相関を認めた。 このように、予備調査とその分析過程が順調に進み、平成25年度の取り組みとしてSMS本調査版の作成および本調査の実施まで至った。以上のことより、当初の計画以上に研究が進展していると評価した。また、研究成果を国際学会でポスター発表し、論文2編にまとめたことも評価に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、3年計画の最終年にあたる。当初の予定より計画以上に進展していることから、平成26年度は対象者の属性によるストレングスの特徴を明らかにし、ストレングス測定尺度(SMS)の精度を高めていきたいと考えている。 具体的には、違った背景をもつ集団を対象にSMSを用いた調査を行う予定である。日本だけでなく、海外での調査も検討中である。本研究者が所属する大学は、欧米の2つの大学と学部間協定を結んでおり活発な国際交流を進めている。この研究環境を活かし研究を重ねることで、SMSの精度を高めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末発行の学術雑誌に2編論文を投稿したが、それらの掲載料と別刷り代金について納品が遅れたため平成25年度中に支払いが完了せず、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、平成26年4月納品分の論文投稿料・別刷代として支払い予定である。また、平成26年度分の請求額については、国内外においてSMSを使用した調査を重ね、対象者の属性によるストレングスの特徴を明らかにしSMSの精度を高めていく計画である。そのため主に、追加調査にかかる費用、データ管理のためのパソコン購入、国内外への旅費、論文掲載料等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)