2013 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素中性子捕捉療法のための線量分布イメージング用ピンホールカメラの開発
Project/Area Number |
24601006
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
片渕 竜也 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (40312798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (10114852)
|
Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 線量評価 / ピンホールカメラ |
Research Abstract |
平成24年度にコリメータ、遮蔽体、ガンマ線検出器を組み合わせて構築したシステムは中性子に対する遮蔽能力が十分ではないことが判明していたため、平成25年度は中性子遮蔽能力の改善を行った。加速器中性子源により実際に中性子を発生させて中性子遮蔽能力の改善の確認を行った。 平成24年度に設計製作した遮蔽体は中性子照射場で発生する中性子およびガンマ線のバックグラウンドを低減するため、中性子遮蔽材、ガンマ線遮蔽材から構成される。中性子遮蔽材にはボロン入りポリエチレン、ガンマ線遮蔽材には鉛が使用された。ガンマ線検出器はテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe、以下CZT)を用いた検出器を使用した。この検出器は本研究に必要なエネルギー分解能を有し、コンパクトで扱いが容易なため本システムに最適である。ただし、検出器の構成元素のカドミウムは高い中性子捕獲断面積を持つため中性子バックグラウンドを十分に低減する必要がある。また、遮蔽材に用いられているボロン入りポリエチレンは中性子を吸収すると10B(n,alpha)7Li反応によるガンマ線を発生する。このガンマ線はホウ素中性子捕捉療法のオンライン線量評価において検出するガンマ線と同一であるため、深刻なバックグラウンドとなる。したがって、ボロン入りポリエチレンを外側に配置し、鉛を内側に配置することでこのバックグラウンドガンマ線を慎重に遮蔽する必要があった。加速器中性子源により実際に中性子を発生させて、遮蔽に問題のある箇所を見つけて遮蔽体の配置を調整した。結果として、中性子バックグラウンドを大幅に低減することに成功し、信号対バックグラウンド比を向上することができた。 平成24年度に行った結果を論文としてまとめ、学術雑誌に発表した。また、遮蔽体の検討に関する内容を日本原子力学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に判明した遮蔽体の問題点を改善し、検出システムの性能を向上させることができた。計画通り、コリメータ、検出器、遮蔽体を組み合わせたシステムを構成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
検出器、コリメータの最適な配置を検討し、加速器中性子源を用いて実験を行い、配置を決定する。さらに画像再構成実験を行い、オンライン線量評価のための線量分布画像の再構成を試みる。最適な画像再構成アルゴリズムを検討する。以上の結果をもとに本システムを実際の中性子捕捉療法での条件で使用した場合の性能を評価する。
|
Research Products
(3 results)