2015 Fiscal Year Annual Research Report
国際人権の国内受容過程の検討枠組の再構築―ジェンダー法とマイノリティ法からの試論
Project/Area Number |
24602007
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
澤 敬子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60340444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 敦子 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 研究員 (90414119)
南野 佳代 京都女子大学, 法学部, 教授 (60329935)
手嶋 昭子 京都女子大学, 法学部, 准教授 (30202188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジェンダー / マイノリティ / 人権 / 司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際人権の国内受容過程をジェンダー、マイノリティの法から検討することで、国内受容過程の検討枠組について考えることにあった。本来の研究最終年度である平成26年度に引き続き、延長された最終年度である27年度は、とりわけ司法の意義に注目し検討を重ねた。 ジェンダー・マイノリティーの法も、他の法と同様に、当事者や法機関の法的行為、法なるものの在り方、これらと社会との相互関連性という総体的な説明が可能であるが、国際人権の国内受容に関しては、しばしば法の変革と関連する権利保障や支援制度の整備が最重要課題として提起、推奨される。しかし、ジェンダーやマイノリティに関する法については、旧来からの関係性に基づいた日常的でときに親密な関係や集団間の関係の変更に関わるものであって権利や保障が機能する場が社会との相互作用のなかにあるため、実際にはそれだけでは十分でない。これらが機能するために法的行為(当事者、法機関)に関わる意識・認識・行動そのものが変更される必要があり、法的行為と社会をともにこれらの変更へと向かわせられる内容が法の中に織り込まれている必要さえある。 このような内容を法の中に織り込むためには、立法機関だけでなく、司法・行政機関や国内人権機関がその機能を果たしうるが、日本の場合には、法機関のなかでは司法が、可能性がありつつ十分に機能しえていないものとして大きな意義を持ちうることが本研究を通して明らかになった。ただし、司法そのものもジェンダー化された法機関であり、そこでのジェンダーの権利を実質化するために、司法にどのような可能性があるかについて、内外の司法のジェンダー・ダイバシティの現状と課題を整理した。
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Research Products
(2 results)