2013 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ産生を阻害する新奇米由来成分のアルツハイマー型認知症予防効果の検証
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24614005
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 貴子 新潟大学, 工学部, 技術補佐員 (10568413)
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / BACE1阻害 / 米 / IP6 / Aβ産生抑制 |
Research Abstract |
アルツハイマー型認知症(AD)の病因には、脳内でのアミロイドベータペプチド(Aβ)の蓄積が深く関与していると考えられている。Aβは、Aβ前駆体蛋白質(APP)から、β-セクレターゼ1(BACE1)及びγ-セクレターゼにより順次切り出されるため、BACE1活性を阻害できれば、Aβ蓄積の効果的な予防が可能になる。 研究代表者らは、玄米抽出液と玄米人工消化液にBACE1阻害成分が含まれることを見出していた。本研究課題において、イオンクロマトグラフィーを用いた解析により、有効成分の1つはフィチン酸(myo-inositol hexakisphosphate, IP6)であると同定できた。玄米人工消化液とIP6は、培養ヒト神経芽細胞においてAβ産生を抑制し、このとき細胞毒性は示さなかった。玄米抽出液及び玄米人工消化液中には、IP6の他にIP4も検出されたが、IP4はBACE1阻害活性を示さなかった。IP5についてもBACE1阻害活性を示さなかったことから、myo-inositolがBACE1阻害活性を発揮するためには、6個のリン酸基の結合が必要であることが示唆された。 既存のセクレターゼ阻害剤は、基質特異性の低さから副作用を引き起こすことが問題となっていた。BACE1の基質としてAPPの他にneuregulin 1が知られているが、IP6は、BACE1によるneuregulin 1の切断(aa237とaa238の間)を阻害しなかった。また、生体分子間相互作用解析装置(Biacore X)を用いた解析において、IP6は、APPのBACE1切断部位をコードするペプチドには結合しなかった。これらの結果は、IP6が、BACE1モジュレーターとしてAPP切断を特異的に阻害することを示唆している。従って、APP以外の基質の切断を阻害することによる副作用の発生を回避できると考えられる。
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