2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的ケアとしての合理的配慮:市民社会の配慮実践を支える理論とプログラム開発
Project/Area Number |
24616002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星加 良司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (40418645)
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Keywords | 障害に基づく差別 / 合理的配慮 / 不可視の障害 / 規範理論 / 研修プログラム |
Research Abstract |
ライフスタイルの多様化や少子高齢化の進展に伴い、標準的な身体から外れた人々の生を支える「ケア」への社会的関心が高まっている中、本研究では、主に障害領域で注目を集めている「合理的配慮」概念に焦点を当て、理論的及び実践的な研究を遂行している。具体的な研究課題は、A.合理的配慮の幅広い適用を阻害している要因の分析とその解消の方法に関する研究、B.合理性概念の内実の解明とそれに基づいてなされる配慮の規範的性格付けに関する研究、C.合理的配慮の実施局面における課題の分析とその解決策としての研修プログラムの開発、がその内容である。 今年度は、課題Aについて、機能制約を伴わない障害に関わる合理的配慮の提供に関する理論的課題の整理を行ったほか、配慮提供を円滑化するための社会的資源(公的な助成、情報の収集・提供のための機関等)の活用の可能性と必要性について検討を進めた。 また課題Bについては、「障害者差別解消法」(2013年6月成立)、「障害者雇用促進法」(2013年6月改正)、「障害者権利条約」(2014年1月批准)の条文やその政府解釈に基づいて合理的配慮概念の内実に関する分析を進め、合理的配慮による変更・調整が求められる範囲の特定に関する知見を整理した。 さらに課題Cについては、富士通株式会社及び富士通ラーニングメディア株式会社の協力を得て、企業等の職場で合理的配慮を効果的に機能させるためのeラーニング及びワークショップのコンテンツ開発とトライアル実施を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のうち課題A及びBに関わる成果は書籍(有斐閣から出版)により、また課題Cに関わる成果は研修プログラム(富士通ラーニングメディア株式会社との共同開発)等により公表する予定であるが、いずれについても来年度中の完成に目処が立っており、順調に研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた理論研究及びアクションリサーチの結果を踏まえつつ、実際に企業や教育機関において合理的配慮を導入する上での課題についてさらなる聞き取りを行うほか、開発中の研修プログラムの効果についての実証実験等を経て、コンテンツのブラッシュアップを図る。 また、合理的配慮の理論的・実践的課題に関する概説書と研修プログラムを公開するとともに、セミナーやワークショップ、シンポジウム等を通じて広くその成果を社会に還元する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗に従って必要に応じて研究費を執行した結果、今年度は当初の見込み額と執行額との間に若干のずれが生じたため。 次年度の研究費とあわせて旅費、消耗品費等に使用する。
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Research Products
(2 results)