2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療コミュニケーションにおける共同意思決定過程の解明
Project/Area Number |
24616003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石崎 雅人 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (30303340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 幾久子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10242752)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共同意思決定 / 医療コミュニケーション / 化学療法 / がん検診 / 患者のための医療情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、患者の共同意思決定に対する認識の観点から、がん検診の受診に関する要因を探るための質問紙調査を行い、その分析を行った。昨年度は、化学療法を受ける際の患者の認識を調査し、患者が自分の希望する方法(共同意思決定、患者主導、医師主導)で意思決定することが高い満足度につながることを明らかにした。化学治療を受ける段階での方法の希望は、共同意思決定、患者主導、医師主導の順であったが、がん検診の場合は、圧倒的に患者主導が多かったが、そのことは必ずしも情報収集が十分でないことを意味しない。しかし、複数の調査において患者が医療情報を得る源として医師が重要であると指摘されているにもかかわらず、医師から説明を受けたとする患者はほとんど説明の内容を覚えていなかった。また、がん検診を受けるかどうかのきっかけの約50%以上が会社や地域における人間ドッグ・健康診断となっていた。このことからは、病気になる前(がん検診受診の判断)での患者と医師のコミュニケーションが十分でない可能性が考えられる。がん検診については精度の問題が議論されており、患者が知識をもたずに検診を受診してしまうと、必要のない健康上の心配をかかえてしまうことが指摘されており、検診時において患者が十分な情報をもっていることが望ましい。医療コミュニケーション研究において検診時の情報共有のあり方が問題になることは多くないが、この段階で患者が十分な情報をもつことは治療時のより良い医療コミュニケーションを支える基盤となる。本研究の知見をもとに検診時など病気になる前の医療コミュニケーションがどうあるべきかについてさらに検討していきたいと考えている。
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