2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24617006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
今野 喜和人 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70195915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 愛 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10313917)
山内 功一郎 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (20313918)
田村 充正 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30262786)
南 富鎭 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30362180)
花方 寿行 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (70334951)
桑島 道夫 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80293588)
CORBEIL Steve 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (80469147)
大原 志麻 静岡大学, 人文社会科学部, 講師 (80515411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 翻訳学 / 比較文学 / 比較文化 |
Research Abstract |
翻訳の〈倫理〉に関わる総合的研究というテーマの下、初年度はメンバーのそれぞれが、研究対象について基本的な情報収集を行い、研究会・所属学会における発表と論文執筆を行った。 まず海外調査としては、今野と安永はフランスで調査を行い、主に翻訳理論・学説に関わる論文等を収集・閲覧した。大原はスペインでセルバンテスの『ヌマンシアの包囲』について、ヨーロッパ全体を視野に入れて評価と翻訳に関わる問題を調査した。 他の分担者はいずれも国内の図書館・資料館等で調査を行うほか、入手した資料に関する分析を行った。南が松本清張の推理小説からみる翻訳の倫理問題に注目し、田村は川端康成の小説の映画化に関わる問題について、山内はマイケル・パーマーの詩作品、花方は映画『ノスフェラトゥ』と原作『ドラキュラ』の関係、コルベイは60年代における日本映画の社会と政治の関係、桑島は華人(非母語)作家についてそれぞれ研究を行うなど、各分担者とも、広い意味における翻訳と倫理の問題を探求している。 それぞれの研究内容についてはおおむね月に一回のペースで開催している研究会において発表し、相互の視野拡大に努めているが、11月には外部の研究者を招いて公開の講演会を開催した。まず17日には映画評論家としても活躍している中条省平氏(学習院大学)による「文学作品の映画化をめぐって」、26日にはジュリアン・ブーヴァール氏(リヨン第三大学)による「フランスにおける日本マンガの翻訳の現状」と題する講演会を企画し、学生・一般市民を含めて多くの聴衆を集め、本研究の社会への還元の一端を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎月の研究会では各自の研究進行状況を報告し合っているが、おおむね順調に推移していると考えられる。また研究発表の数も、ほぼ順調と言える。あとは研究が多岐にわたるため、〈倫理〉という視点からどれだけ全体を有機的に結びつけていくかという作業が残されていると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度も前年度に開始した国内外における調査を続行するほか、成果については毎月の研究会で発表し、相互の知見を深め合った上で、各自の所属学会等で発表の機会を求める。また、外部からのゲストとしては、日独語のマルチリンガルな創作者として著名な多和田葉子氏を招き、本研究のテーマとの関連で講演を行っていただくことが決定している。 なお、来年度が最終年度になるため、最終的な総括をどのような形で進めるかについて、各自の研究方針に関して共通理解を得る努力をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度も国内外への交通費が大きな割合を占める。海外調査としては花方のイギリス、山内のアメリカが大きなものであり、他の分担者も東京を中心として図書館・資料館での調査を予定している。その他書籍と映像作品の購入費が多く、上に記した外部ゲストの招聘費などが見込まれている。
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