2012 Fiscal Year Research-status Report
『北の国から』と富良野――メディアコンテンツと地域文化・社会のエスノグラフィー
Project/Area Number |
24617012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
大月 隆寛 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (40185327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 顕宏 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (20337083)
坂梨 夏代 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (40448832)
武井 昭也 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (50289683)
横田 久貴 札幌国際大学, 観光学部, 准教授 (50535127)
飯田 俊郎 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (60254736)
菊地 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80314277)
赤川 智保 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 准教授 (80438407)
吉岡 精一 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (90438408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 北海道 / 観光 / 民俗学 / メディア / 地域 / 富良野 / カルチュラルスタディーズ / 大衆文化 |
Research Abstract |
初年度の作業として、まず研究の基礎となる資料(文献、地図類、映像資料等)の概略を認識、把握し、時間と予算の許す範囲での収集を行なった。富良野地域に関する地誌、地域史、民俗史/誌の類は現地および道内の関係図書館、文書館などに保存管理されているもので当面の目的に資すると思われるものをリストアップ、共有できる形にする準備と、古書や映像資料系はこれまで市販され市場に流通したものを中心に中古市場などで探索、主要なものは購入入手に努めた。地元の郷土史運動に携わる人たち、倉本聡氏の設立した演劇工房で活動を行なっている人たちなどに連絡をとり、研究の趣旨を説明し協力を要請、彼らが蓄積してきた資料などについても情報提供を依頼し今後の連携の基礎固めを行なった。 各研究員それぞれの専門分野に沿った現地の予備調査を各自行い、次年度以降の全体での調査のパースペクティヴを得るよう情報交換を行なった。本研究の質を規定するであろう重要な要素である、パブリックセクターとの関係をどのように制御し、研究の質との整合性を保つのか、また、同様の文脈で倉本聰氏本人との関係はどのように制御し、協力を依頼するのかなど、エスノグラフィー的調査取材を前提にした作業における方法的な課題についても、研究員のうち該当する専門分野の者の間で意見交換を行い、全体としての方向性をある程度整理した。 近年、人文社会科学系で領域横断的に展開されている、本研究に近しい課題や研究動向についても、意識的な資料収集や研究者の動きなどについて情報収集を行ない、チームで共有するようにした。 初年度として、準備段階の着手とその後の作業については当初の計画に沿った形で概ね行えたものと認識している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は資料の概略の認識、把握と情報共有を主に行ない、図書館等ですでに保管されているもの以外の資料(古書雑書や映像資料等)については各自気がついた時点でできる限り確保するという方針で収集を意識した作業を行なったが、これらについてはおおむね順調に進展している。特に地元の郷土史運動の関連などで、富良野地域の住民意識のありようやその変遷を考察する上で役立つ資料や人脈が視野に入ってきたり、地図地誌の類にも当初想定してなかった住宅地図その他が資料として活用できる可能性が見えてきたり、チームとしての利益になる発見があった。 一方、チームの規模の関係もあり、全体的な討議の場が当初考えていたほど設定できず、またこれも各研究員のエフォートの制約もあって各自および小チームでの予備調査、予備取材の類についても、当初の計画よりはやや進まなかった面はある。ただしその分、それぞれの専門領域に沿った課題の深化や新たな方向づけなどは、意外なアイディアや関連分野との連携の可能性など含めて、予想外の成果も見られた。 全体として、学際的領域横断的なチームでの課題設定としてはまず順調なスタートを切れたと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
各研究員ごとの、また小グループごとの作業や検討と共に、チーム全体での作業や検討、討議の場を今年度は行えるようにし、実際の調査取材を通した現地での経験を共有することで今後の作業のための共通理解の前提を整えることをしたい。 NHKやその他民間の記録映像関連団体などの映像アーカイヴスを意識的に利用することが研究員の中から提案され、その可能性についても小チームを組んで具体的な方法やそのための条件などを積極的に検討することにしている。 「北の国から」が当初テレビドラマとして放映された80年代の情報環境におけるドラマのありような位置づけ、そこに至る70年代からの経緯などについても、メンバー全体の理解の全体になるような形での既存の研究や資料整理を行なう。 富良野という地域自体の歴史的経緯や自然環境含めて、「文化」コンテンツとしてどのように活用されてきたのか、これも概略の経緯について各研究員の専門分野に沿った形での共通理解を行えるよう整理を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記方策にあるチーム全体での作業や検討の機会を限られた時間と予算の中で効率的に行えるよう、日程調整しつつ旅費や会議のための経費を中心に合理的に執行してゆきたい。現地での調査取材の機会は限られた日時になることが想定されるので、そこに至る準備作業について初年度の成果を下敷きにうまく詰めて行ければと思っている。 特段の機器や資材が新たに必要になってきたということは現状ないが、調査取材による記録を集約し共有してゆく環境については、現有機器や環境の上に工夫が必要な部分はあるので別途意識しながら検討してゆきたい。 各研究員の取材調査ノートやメモも含めた研究成果発表の媒体が想定しにくいところがあるので、できればチームでの中間報告のような形でもう少しゆるやかな共有媒体が作れないものかこれも予算の範囲内で可能性を検討したい。
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