2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24620003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
唐原 一郎 富山大学, その他の研究科, 准教授 (60283058)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 微小重力 / 宇宙環境 / 成長 / 細胞壁 / 植物 |
Research Abstract |
Space Seed宇宙実験において,固定された33日齢の短期試料における花茎の長さは,宇宙1G区と比べて,micro G区の方が有意に長くなったという結果が既に得られており,micro G環境下では成長が促進されることが示唆されている.そこで本研究では,毎日撮影されたダウンリンク画像を用いて,花茎の長さおよび成長速度の経時変化を解析することで,上記の結果を検証した.またmicro G環境下で成長が促進されるならば,細胞壁の力学的的性質の変化を通じて引き起こされている可能性が考えられるため,このことを検証した.その結果,宇宙1G区とmicro G区の間に有意差は見られなかったものの, micro G 区においては,先端部・基部いずれにおいても, 宇宙 1 G 区と比べると細胞壁の伸展性は大きくなる傾向がみられ,また最小緩和時間T0 が小さくなる傾向,つまりゆるみの程度がやや大きくなる傾向が見られた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主目的である宇宙植物工場の基礎研究遂行に関連し,申請者は2020年までの国際宇宙ステーションISS「きぼう」利用シナリオに沿った大型装置プロジェクトに関わっており,その推進母体である宇宙環境利用科学委員会リサーチティームにおいて,大型の植物栽培装置の計画が急速に具体化してきた.この装置計画の推進のためには宇宙および微小重力環境の影響解析が必要であり,本年度はSpace Seed宇宙実験の解析を優先的に行った.現時点では概要に述べた結果を得られており,概ね順調に進展していると判断される.
|
Strategy for Future Research Activity |
宇宙および微小重力環境の影響に関して,Space Seed宇宙実験の継続解析として,具体的には次のような解析を行う.shootの成長方向の制御は,個体レベルでの光合成の効率すなわち生産性にも影響する可能性がある.従って宇宙植物工場での栽培を実現するためには重力がない環境でshootの成長方向の制御がどうなるかを調べることは重要である.しかし,重力がない場合に,光だけでshootの姿勢制御が地上と同程度になされるのかについては,shootレベルでは定量的には調べられていない.また光環境による植物の成長方向の制御の強さが1G環境と比べてどの程度かについてもはっきりしていない.そこで,ダウンリンク画像を用いて花茎の成長角度を定量化し,宇宙環境が花茎の成長方向に与える影響の解析を行う.またこれまでの解析により,微小重力がが栄養成長の期間の長さに影響する可能性が示唆された.そこで,長角果形成や開花日について,ダウンリンク画像を用いた詳細な解析を行う.また既に開始しているが,宇宙環境がトランスクリプトームに与える影響の解析を進める. 宇宙環境が植物内部組織の発達に与える影響について,花茎の維管束組織等の支持構造の発達に与える影響の解析を進める.これに関連し,細胞壁成分であるリグニン分析について解析をすすめる.また,SPring-8を用いて宇宙環境が種子内部構造に与える影響の解析を進める. 地上実験によるSeed to Seed実験の準備として,開発・改良をすすめる長期過重力栽培装置を用いて,過重力環境下における長期の栽培実験系の確立を引き続き行う.とくに異なる重力環境が個体レベルでの物質生産に与える影響について,具体的には,器官レベルで乾物重や物質吸収に与える影響の解析を進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,以下のように行う.本研究課題の遂行に関連し,2020年までの国際宇宙ステーションISS「きぼう」利用シナリオに沿った大型装置プロジェクトに関わる宇宙環境利用科学委員会リサーチティームに申請者が携わっており,2012年度の活動の中で「宇宙植物工場」の基礎としてより大型の植物栽培装置実現をはたらきかけ,本装置の計画が急速に具体化してきた.これを受けて本研究課題においても,宇宙大型植物栽培装置計画の基礎研究として,植物の物質生産の視点からの研究を行う.これおいては,これまでまったくわかっていなかった重力環境が根系に与える影響も含めて過重力環境が植物の生活環に与える影響を含めて解析する.この目的のため,形態解析関連のソフトウェアおよび機器類の導入を検討している.
|
-
[Journal Article] Improvements in and actual performance of the Plant Experiment Unit onboard Kibo, the Japanese Experiment Module on the International Space Station2013
Author(s)
Yano S, Kasahara H, Masuda D, Tanigaki F, Shimazu T, Suzuki H, Karahara I, Soga K, Hoson T, Tayama I, Tsuchiya Y and Kamisaka S
-
Journal Title
Advances in Space Research
Volume: 51
Pages: 458-464
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] Life cycle of Arabidopsis thaliana under microgravity condition in the International Space Station Kibo module2012
Author(s)
Karahara I, Suto T, Yashiro U, Yamaguchi T, Tamaoki D, Yano S, Tanigaki F, Shimazu T, Kasahara H, Kasahara H, Soga K, Hoson T, Kamisaka S
Organizer
39th COSPAR Scientific Assembly
Place of Presentation
Mysore, India
Year and Date
20120713-20120721