2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24620007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森田 隆 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70150349)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙 / 宇宙放射線 / 重粒子線 / ES細胞 / 発生 / 哺乳動物細胞 / アメリカ合衆国 / NASA 共同研究 |
Research Abstract |
国際宇宙ステーションに日本の実験棟「きぼう」が建設され、火星探査、月面開発など人類が活動する可能性が高くなった。しかし、宇宙は放射線が錯綜する空間であり、微小重力、高真空など過酷な環境である。その中にある宇宙ステーションで人類は長期滞在でき子孫を増やせるかどうかという問題は人々の宇宙に対して抱く素朴な疑問である。しかし、実際に宇宙船内でマウスなどの動物個体の長期飼育が困難であること、あるいは受精卵などを保存するために必要な-150℃の冷凍装置の装備がないことにより研究は進んでいない。申請者は、2012-2013年、国際宇宙ステーションに、マウスES細胞を凍結状態で打ち上げ、‐95℃の冷凍庫に長期間保存することが決定している。1-2年後に地上にそれらの細胞を地上に戻して融解した後、その生存率、染色体異常を調べる。さらに、ES細胞を受精卵にマイクロインジェクションして、その後の発生に異常がないか解析し、宇宙放射線の哺乳動物に対するリスクを評価し、宇宙飛行士の安全をはかる。そこで申請者らは、宇宙放射線の哺乳動物への影響を解析するために、凍結したマウスES細胞を「きぼう」内のMELFIに長期間保管し、地上へ戻したのち、DNAへの損傷や染色体の異常を解析するとともに、ES細胞を受精卵に移植し、マウス個体への発生過程での影響及び生殖細胞など継世代の影響を観察することを着想した。その結果、宇宙での長期滞在に伴うリスクの評価、安全基準の策定及び防御方法の開発が期待できると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、マウスES細胞を-80℃の凍結状態で国際宇宙ステーションに打ち上げ、長期間「きぼう」内のMELFI冷凍庫(-95℃)で保存する。1か月から2年の間に地上に順次凍結したまま回収する。解凍後、コロニー形成による生存率測定、リン酸化ヒストンH2AX抗体によるDNA損傷の検出、mFISHによる染色体異常を観察定量化し、地上で保存した対照群と比較し、宇宙放射線の直接の影響を解析する。予定である。 実際に」平成24年度には、マウスES細胞の調製および、培養のリハーサルをおこない、平成24年度8月から、細胞培養回収を開始した。打ち上げは、若干遅れ、平成24年度3月1日になったが、その間、凍結細胞のチェックなどを経て、無事アメリカフロリダのケープカナベラルよりファルコン9号で、スペースX-IIにより、打ち上げが成功し、当初の計画が達成できた。同時に、報道機関により、新聞などで本研究の意図が報じられ、当初以上の効果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成25年12月に最初の6か月経過のサンプルが宇宙ステーションより帰還する前は、マウスES細胞を用いて、放射線の影響を地上で解析する。 (2)平成25年12月に最初の6か月経過のサンプルが宇宙ステーションより帰還する予定なので、そこから、ES細胞の解析が始まる。(a)細胞の生存率 (b)細胞の染色体の解析 (c)細胞のDNA損傷の解析 (d)細胞のマイクロインジェクションによる発生の解析
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスES細胞を用いて、放射線の影響を地上で解析および平成25年12月に最初の6か月経過のサンプルが宇宙ステーションより帰還するサンプルについて、ES細胞の解析が開始される。細胞の細胞の生存率、細胞の染色体の解析、細胞のDNA損傷の解析の試薬として、物品費400,000円が必要である。また、マイクロインジェクションなどの技術が必要で、研究補助員の謝金が300,000万円必要である。また、アメリカとの共同研究のため、サンプル交換、打ち合わせなどの出張費として400,000万円必要である。
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