2012 Fiscal Year Research-status Report
カメラ画像と超音波測距による可搬性を備えた高精度モーションキャプチャシステム
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24650076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉本 雅則 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90280560)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | センシングデバイス / 超音波 / 3次元測位 |
Research Abstract |
申請者らのグループで構築した位置認識システムは、高精度測距技術に基づく3辺測量により物体の3次元位置を取得する。これまでの研究を通して、センサ間の基線長を小さくすることで、コンパクトな実装かつ一定レベルの精度を実現できることを示した。しかし、以下の点が問題であった。 (1)超音波トランスデューサの位相特性:超音波トランスデューサは指向性を持っており、超音波の入射角によって位相特性が変化する。提案測距手法は位相差を時刻基準点とするため、位相特性の変化は測距の誤差に直結する。 (2)poor GDOP (Geometric Dilution of Precision) による3次元位置認識精度の限界:GDOP値が高い場合、測距の小さな誤差が3次元位置認識の大きな誤差に増幅される。特に、距離方向(z方向)と鉛直な面(xy平面)での誤差が極めて大きくなる。 そこで本研究では、(a)超音波トランスデューサの位相特性の補償、および(b)単眼カメラと超音波による深さ方向の計測の統合という2つの方法を用いることにより、高精度かつコンパクトな3次元モーションキャプチャシステムを提案した。 本研究では、複数の入射角での超音波トランスデューサの位相特性を計測し、スプライン関数によって位相補償平面を構築した。カメラによって得られるターゲットの位置(カメラを原点とするターゲットの方向)により、超音波測距の補正を行うと同時に、それと鉛直な面での誤差を小さくする。 超音波トランスデューサに周囲にLEDを配置することでコンパクトな視覚的マーカを構成し、その3次元位置を取得する実験を行った。その結果、最新の位置認識システムとほぼ同等の測位精度を示すことを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画では、まず単眼カメラと超音波センサを用いることで、既存手法で実現されている3次元位置認識精度を実現できるかどうかを確認することを課題とした。 LEDを配置することにより視覚的なマーカを構成し、2次元平面(カメラの撮像面)での測位とそれに鉛直な方向の超音波による高精度測距を組み合わせることで、コンパクトかつ正確な位置認識の実現を目指した。実証実験を通して、高精度の測位が実現できることが確かめられた。また、物体の移動に起因するドップラーシフトによって、周波数遷移が発生した場合でも、その補償を行うことで十分に高精度の3次元測位が可能であることが確かめられた。以上は、当該年度の目標として挙げていた事項である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、以下のような研究を推進する。 (1)周波数分割による測距性能の確認:広帯域送信機の周波数帯域を排他的に分割し、申請者らのグループで開発した位相一致法のバースト波を各々の帯域上で送信するためのハードウェアおよびソフトウェア、さらに受信機で直交検波するためのソフトウェアおよびハードウェアを実装する。現時点では、超音波送受信機の振幅および位相特性が比較的安定している25KHz~85KHzを6kHz毎に分割し、最大10個のバースト波を同時に送信する予定である。一方、受信機側では、受信波形をAD変換し、送信波と同じバースト波を用いて直交検波を行う。LOS(Lineof Sight)が確保できれば、狭帯域超音波トランスデューサの場合と同様の測距性能が示せることを確認する。 (2)スパートフォン等を対象としたモバイルデバイスでの室内3次元位置認識、モーションキャプチャの実現: 研究成果をより分かりやすくデモンストレーションするために、社会に広く普及しているスマートフォンを用いた3次元位置認識、トラッキングシステムを構築する。可聴域と超音波領域をまたぐ周波数帯を利用することで、人間にとって邪魔にならない音響信号での測位を目指す。まずは、スマートフォンのスピーカーおよびマイクロフォンの周波数特性について計測を進める。次に、その特性に応じて適切な周波数帯を決定する。比較的計算パワーが低いデバイスであることを考慮した測位アルゴリズムやそのアプリケーションソフトウェアについて検討と実装を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は当初予定の通り周波数分割による複数移動体のトラッキングについての検討を進めたが、実装までには至らなかった。そのため、実装に必要な物品を平成25年度に購入することとした。具体的には、広帯域での音響信号を発生させるためのファンクションジェネレータ、アンプ、およびスーパーツィータを購入する。また基板実装のための電子回路素子も併せて購入する。 研究協力者の国立情報学研究所橋爪教授との打ち合わせ(東京、札幌)のための旅費、成果発表のための国内外出張のために必要となる旅費を拠出する。また、評価実験補助、データ解析補助のための学生アルバイト謝金、英語論文校正のために予算を執行する。さらには、実験機材搬送等の通信費用を計上する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] An Accurate 3D Localization Technique using a Single Camera and Ultrasound2012
Author(s)
Sugimoto, M., Kanie, N., Nakamura, S., Hashizume, H.
Organizer
Proceedings of IEEE IPIN 2012, Sydney, Australia, pp.1-8 (2012).
Place of Presentation
New South Wales University (Australia)
Year and Date
20121113-20121115
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