2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650284
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小暮 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70262540)
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Keywords | がんワクチン / ナノ粒子 / イオントフォレシス / 経皮投与 |
Research Abstract |
平成25年度は、申請通り、ヒトメラノーマ抗原ペプチドhgp100(25-33)の末端にグルタミン酸配列を付与したペプチドを連携研究者が開発した正電荷を有するPEG化ナノゲル表面に静電的相互作用を利用して担持させたものを、メラノーマ細胞移植マウス皮膚上でイオントフォレシスに供した後、腫瘍成長を追跡した。その結果、抗原ペプチド非投与群においては顕著な腫瘍成長が観察されたのに対して、抗原ペプチド/ナノゲル複合体をイオントフォレシス投与したマウスにおいては、有意な腫瘍成長の抑制が認められた。対照としてナノゲル単独をイオントフォレシスした場合には、腫瘍成長は抑制されず、むしろ若干促進されたことから、抗原ペプチドをナノゲルと組合わせてイオントフォレシス投与することで腫瘍成長が抑制されたことが示唆された。このとき、抗原ペプチド/ナノゲル複合体のイオントフォレシス投与によって、特段の体重減少なども見られなかったことから、本システムの安全性は問題ないことが確認された。今回は、完全な腫瘍成長抑制効果が得られたわけでないが、予備的検討から、CpGオリゴDNAなどのアジュバントを組み合わせることで抗腫瘍免疫を増強できることを確認しているので、抗原ペプチドとCpGオリゴDNAの混合物とナノゲルとの複合体をイオントフォレシス投与することで、より強力な腫瘍成長抑制効果を実現できると確信している。そのため、本システムは当初計画通り、非侵襲的に抗腫瘍免疫を誘導可能な「痛くないがん治療ワクチン」として確立したと考えている。
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