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2013 Fiscal Year Research-status Report

薬剤のX線吸収特性を利用してガン患部を選択的に照射できる体内挿入型針状単色X線源

Research Project

Project/Area Number 24650291
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

小栗 慶之  東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (90160829)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 長谷川 純  東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90302984)
Keywords放射線治療 / 単色X線 / 陽子ビーム / 注射針 / 増感剤 / 静電加速器 / モンテカルロシミュレーション / イメージングプレート
Research Abstract

先端に銀標的を取り付けた外径1.3 mm,内径0.8 mm,長さ50 mmの注射針の内部に静電加速器からの2.5 MeV陽子線を通し,遠隔操作により針の角度を変化させたところ,針の外側で銀の特性X線(エネルギー = 22 keV)強度が最大となる角度を見出すことができた.この角度に針を固定し,CdTe半導体X線検出器でX線エネルギースペクトルを測定した.その結果,発生した放射線のほぼ100%が銀の特性X線であり,注射針の材質であるステンレス鋼(鉄,クロム,ニッケル)からのX線や,制動放射による連続X線は殆ど検出されず,また原子核反応によるガンマ線も確認されなかった.よって,この単色性の高いX線を用いてガン患部のみに線量を与える選択性の高い治療が実現する見通しが得られた.また,残留放射能も認められなかった.陽子線による銀のK殻電離断面積,蛍光収率,銀標的内の陽子線のエネルギー損失,及び針の材質によるX線の減衰を考慮して銀のKX線の絶対強度を計算し,これを測定結果と比較したところ,誤差範囲内で一致したため,X線を予定通り発生できていることが確認できた.
次に針の近傍に低エネルギー放射線検出用のイメージングプレートを置き,数分間のX線照射を行ってX線放出強度の角度分布を測定した.陽子線に対する入射角度が90度と45度の二種類の標的を用いて測定を行ったところ,90度の場合はX線の放出強度が小さく,しかも後方に限られるのに対し,45度の場合は強度分布が軸対称でないものの,強度が大きく幅広い角度にX線が放出されることを確認できた.このX線放出強度分布をモンテカルロ数値シミュレーションコードで計算したところ,実験結果と概ね一致した.わずかな相違が見られたが,これはイメージングプレートの固定位置の誤差によるものであることが分かった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

銀標的を含む準単色X線発生用注射針の設計製作,遠隔精密軸合わせ装置の調整,X線検出器系の構築とエネルギースペクトル測定,X線放出強度分布測定等については,検出器を予定していた小型電離箱からイメージングプレートに変更したことを除き,ほぼ予定通りに達成することができた.陽子線照射により標的から発生したX線による線量分布をモンテカルロシミュレーション計算により再現できた一方で,この計算の準備に時間がかかったため,注射針内壁と陽子線の相互作用に関する数値解析は進めることができなかった.しかし,陽子線の輸送効率がほぼ幾何学的条件で決まる値に達したので計算の重要性が低下し,大きな問題にはなっていない.なお,陽子線加速器のイオン源の不調により,マシンタイムが十分確保できず,X線増感剤の開発作業に至らなかった.

Strategy for Future Research Activity

X線増感剤の開発と試験を早期に行い,試験用ファントムに装荷した後,ガン患部への線量付与の選択的増大が可能であることを実証する.増感剤溶液を含むカプセルの製作が困難な場合は,とりあえず微粒子状の増感剤をファントム内のイメージングプレート上に置き,微粒子周囲の線量分布を詳しく調べる.
当初予定していた小型電離箱の使用は,X線エネルギーが小さくファントム内のX線の平均自由行程が短いため困難であることが分かった.そこで今年度は小型電離箱に代えてイメージングプレートを用いて線量分布の測定に成功したが,この方法は増感剤カプセル周囲の線量分布測定には適さない.そこで,来年度はプラスチックあるいは液体のシンチレータに注射針を挿入し,針先端周辺の発光強度分布を高感度カメラで測定して線量の空間分布を測定することを検討する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 前立腺がん治療用注射針型陽子線励起準単色X線源の線量付与分布2014

    • Author(s)
      胡 宇超,近藤康太郎,福田一志,小栗慶之
    • Organizer
      日本原子力学会2014年春の年会
    • Place of Presentation
      東京都市大学世田谷キャンパス
    • Year and Date
      20140326-20140328

URL: 

Published: 2015-05-28  

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