2013 Fiscal Year Research-status Report
知的・発達障がい児・者キャンプの意義と可能性に関する実証的研究
Project/Area Number |
24650376
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
竹内 靖子 桃山学院大学, 社会学部, 講師 (30554208)
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Keywords | 知的障がい / 発達障がい / キャンプ / 野外活動 / 余暇支援 / 発達支援 / 国際研究者交流 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究の目的は、キャンプ(野外)活動が、知的・発達障がいのある人の「生活の質」「自立」「発達」にいかに貢献できるのか可能性を実証的に検証し、安心して活動できる環境づくり、ネットワークづくりを提言することである。 2013年度は、海外調査(アメリカ、ノースカロライナ州・ニューヨーク州)や日本の実践研究で得た貴重な資料を整理し、それらを2013年3月と2014年5月に出版することとなった。 障がいのある人は、「遊び経験」が少なくなる傾向や、「孤立しやすい」傾向があり、社会活動を促進する1つの方法として、キャンプの意義や可能性を分析し、実践方法を提案する必要性がある。 自閉症のある人たちが見ている世界は視覚的で、独特の注意の向け方、感覚刺激の偏り、中枢性統合・実行機能が弱い傾向があり、構造化された支援や関係づくりの工夫が必要である。本書では、自閉症のある人たちが地域で生活するための「自立」「発達」「就労」支援事業の1つとして「キャンプ」を40年間行っているアメリカのキャンプ資料を翻訳した。さらにここでは、「キャンプ」を「人生を変える経験」と位置付け、自閉症のある人たち専用のキャンプ場を運営している。本書では、自閉症のある人たち対象のキャンプがアメリカおよび日本においてどのように行われているかを記している。特に、キャンプの目標、支援の工夫(構造化・視覚化・ワークシステム等)の必要性や魅力を事例で紹介している。結果として、団体や国を超えて共通する感動・課題を理解し合うキャンプネットワークづくり提案した。 さらに、(1)検討会・研究会の実施 (2)実践研究の継続:NPO団体の運営する発達障がいのある小学生対象キャンプを実施(2013年9月~2014年2月)(3)研究発表:オーストラリア・アメリカ・日本で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013度は、2012年度視察したノースカロライナ州のキャンプ場で得た資料の翻訳・出版の許可が出たため、翻訳本の出版(2014年5月出版予定)が可能となったため。 また、2013年9月に、ニューヨーク市にて、知的・発達障がいのある人たちのキャンプ実践方法のヒアリング調査を行ない、その報告書を2014年3月に出版したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、「文献・情報の整理」「調査」「実践研究」「報告書作成」「発表」を行う。 1. 文献情報の整理:(1)『自閉症と豊かな暮らしーキャンプロイヤルから学ぶー』(2014年5月晃洋書房から出版予定)の校正・出版。 (2)知的・発達障がいのある人対象キャンプの効果研究に関する情報収集と整理。 2. 調査:上記の情報を分析後、キャンプの意義・可能性を、「生活の質」「発達」「自立」等の視点から調査する方法(実態調査・追跡調査)を決定する。 3. 実践研究:2014年5月~10月にNPO法人キャンピズの行う、軽度発達障がいのある小学生対象キャンプを行い、効果研究を行う。実践研究アドバイザーを、藤原一秀氏(社会福祉法人光朔会 発達障害者支援センターセンター長)にお願いし、参加者の成長を確認できるキャンプの在り方を探り、実践に生かす。 4. 報告書・論文の作成・発表:研究会・検討会で課題を明確化後、報告書・論文を作成し、発表する。研究会では、当事者の井上智さんと賞子先生(智さんの妻であり、タブレット・ICT専門家)にも野外活動の意義と可能性についてヒアリングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「海外調査」で翻訳・出版が承認され、それらの資料を翻訳・出版するための時間が必要となり、最終年度延長に伴い、次年度使用額が生じた。 (次年度の使用計画) 【1】 情報・書籍費、調査研究費または学会発表費(交通費・宿泊費・日当・食事代・通訳謝礼・講師謝礼)【2】 調査費用(調査員謝礼・交通費・インク代・調査用紙代・封筒・タグシール・郵送料・USB)【3】 実践研究費(講師謝礼・交通費・文具費)【4】 研究会・検討会の開催経費(交通費・食事代・日当)、報告書・論文等作成費・配布費(講師謝礼・執筆謝礼・印刷費)
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Research Products
(10 results)