2012 Fiscal Year Research-status Report
トレーニングによる筋機能の向上がアルコール代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
24650378
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧澤 一騎 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90410258)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | トレーニング / 飲酒 / 有酸素性作業能 / 最大酸素摂取量 / 乳酸閾値 |
Research Abstract |
飲酒は脂肪肝や肝硬変を引き起こす要因である。これは、アルコールが分解される際に肝臓に負荷がかかるためである。しかし、アルコールは肝臓だけでなく筋においても酸素を使って分解される。故に、骨格筋の酸素摂取能を高めることによって、飲酒による肝臓の負荷軽減つながる可能性がある。本研究では、健康なヒトに有酸素性トレーニングを行うことで全身におけるアルコール分解能の変化が生じることを検証する。 20歳以上の健康な被験者10名程度を対象として、12週間の有酸素性運動のトレーニング前後でそのトレーニング効果とアルコール分解能を測定した。有酸素性能力は最大及び最大下の酸素摂取量と血中乳酸濃度を指標とした。トレーニングは自転車エルゴメータを用いた定常負荷による自転車こぎ運動を、12週間にわたり乳酸閾値強度で1回30分間以上、週2回以上行わせた。アルコール分解速度については日を改め、20%アルコール含有飲料300mlを総長空腹状態で摂取後、30分ごとに呼気中アルコール濃度を経時的に測定した。また、摂取1時間後と3時間後に採血を行い血中エタノール濃度を測定した。 結果として、最大酸素摂取量と乳酸閾値共に12週間のトレーニングによって向上した。しかしながら、呼気中・血中共に期間前後のアルコール濃度に変化は認められなかった。したがって、今回の実験から最大または最大下の有酸素性能力向上がアルコール分解能の向上につながるとは言えない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な予備実験を行った後、本実験も年度内に終えることが出来た。結果については仮説通りではなかったが、新たな知見を得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
20歳以上で日常的に運動習慣のない被験者を対象に、12週間にわたるトレーニングを行う。その前後で体力テストを行い、トレーニング効果を評価する。さらに、トレーニング期間の前後でアルコール経口摂取後のアルコール分解能を測定する。初年度は有酸素性トレーニングについて検討を行ったので、今後は筋力トレーニングについて検討する。 測定項目は筋力、全身の筋量・体脂肪量、アルコール分解能である。トレーニング効果は前後の体力テストにおいて最大筋力や筋パワー、筋の周囲径などを測定し評価する。アルコール分解能は、アルコール経口摂取後経時的に呼気中のアルコール濃度を検知することで測定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の未使用分は、24年度内に行った実験における被験者への謝金の処理が遅れたためであり、24年度分の被験者謝金として使用する。
|