2012 Fiscal Year Research-status Report
なぜ肉離れは二関節筋の特定部位において好発するのか?
Project/Area Number |
24650395
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮本 直和 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師 (20420408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経・筋生理学 / 筋活動 / 筋内部位差 / 二関節筋 |
Research Abstract |
肉離れは、身体運動時の伸張性収縮時に生じやすいと言われているが、なぜ“特定の二関節筋”の“特定部位”で生じやすいのかは明らかになっていない。本研究では、その現象を説明しうる仮説として“二関節筋に特有の機能的コンパートメント(区画)の存在が肉離れ発症に大きく関わっている”ことを挙げる。この仮説を検証すること、すなわち、肉離れが好発する二関節筋である大腿直筋やハムストリングにおけるコンパートメントの有無を確かめることを実験1の目的とした。 二関節筋である大腿直筋は、解剖学的に遠位と近位の二箇所で大腿神経の支配を受けているが、この二箇所が随意収縮中に別々に制御されているのか否かは不明である。実験1では、大腿四頭筋が主働筋となる膝関節伸展および股関節屈曲筋力発揮中に、大腿直筋の複数箇所から筋電図信号を導出し、その大きさを比較した。その結果、膝関節伸展筋力発揮時は筋活動は筋内でほぼ均一であったのに対し、股関節屈曲筋力発揮時には遠位部と中央部・近位部が別々に制御されており、中央部・近位部の方が活動が大きい事が明らかとなった。また、最大筋力発揮時であっても、股関節屈曲筋力発揮時は膝関節伸展筋力発揮時に比べ、筋活動が小さいことが明らかとなった。これらの結果は、大腿直筋には機能的コンパートメントが存在することを示唆している(Miyamoto et al. Task-dependent inhomogeneous muscle activities within the bi-articular human rectus femoris muscle. PLoS ONE 2012, 7: e34269)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、24年度は実験を2つ実施する予定であったが、1つ目の実験中に実験機材(既存設備)に故障が発生し、その修理に時間を要したため、24年度は実験を1つしか終えることができなかった。(現在は、機器は修復し、実験を再開できる環境が整っている。)
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Strategy for Future Research Activity |
大腿部の二関節筋(大腿直筋、ハムストリング)を対象に、筋電図・超音波法(Bモード法、剪断波エラストグラフィ法)・近赤外分光法を駆使し、二関節筋内の筋活動・筋収縮動態の部位差に関する実験を2つ行う。 1つ目の実験では、マルチアレイ電極を使用することにより、24年度で明らかにした内容を、ハムストリングの3筋(大腿二頭筋長頭、半腱様筋、半膜様筋)を対象に行い、機能的コンパートメントの有無の確認を行う。 2つ目の実験では、24年度の実験および上記実験で明らかになった機能的コンパートメントを対象に、収縮動態および筋硬度、筋酸素動態の筋内部位差を明らかにすることを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に要する用品(マルチアレイ電極用の増幅器:40万円程度)や消耗品(マルチアレイ電極用シール)、被験者謝金に使用する。
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Research Products
(3 results)