2012 Fiscal Year Research-status Report
連続・非線形に進行するプレゼンテーション環境の実装と評価
Project/Area Number |
24650545
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
梅津 信幸 茨城大学, 工学部, 助教 (30312771)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 非線形プレゼンテーション / 教材スライド / 教育工学 |
Research Abstract |
授業における理解度向上のため、学生の反応・理解度に応じ進行を柔軟に変更できる「連続的かつ 非線型」なプレゼンテーション環境を開発することを目的とし、初年度はテキストと画像のみを表示するプレゼンテーションシステムの基礎部分を構築・改良した。さらに、従来の講義にて利用していたwikiベースでの授業コンテンツを、本課題で開発したシステム用に整備する作業を行った。 実際の授業(工学部の専門科目「コンピュータシステムI」)において、開発したシステムを部分的に試用し、実用化に向けた課題をリストアップした。その結果、下記の機能の必要性が高いことが判明した。1) いったん表示した文字や数式などをその場で書き換える機能、2) プレゼンテーションに用いたコンテンツを抜粋して配付資料(プリント)を作成する機能、3) コンテンツを編集した履歴の管理機能。 2)に関しては、通常の紙芝居的なスライドであれば単に各ページを印刷すればよいが、本システムではページという概念がなく自由度が高い分、紙の資料にレイアウトする際に何らかの手法が必要となる。また、3)については、一つの項目が授業の進行に沿って変更されていく場合、翌年度はその履歴をさかのぼってコンテンツを再利用ることで余計な編集・保存作業を避けることが可能となる。 授業時の本システムの試用においては、おおむね良好な結果が得られたが、具体的な被験者を設定して数値的に効果を検証する段階には至らなかった。次年度は、以前からの計画に加え、上記の課題の解決に努める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に掲げた項目については、おおむね順調に達成できている。 ただし、開発したプレゼンテーションシステムにおいて、コンテンツの編集モードと、プレゼンテーションモード(授業モード)を明確に分けるべきか、シームレスに統合して学生に意識させずに内容を編集できるようにすべきかは、今後さらに評価を行ってから決定する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
プレゼンテーション内の項目間を遷移する際に、学生の理解度を考慮できるよう拡張する。具体的には、学生の理解があやふやな部分は、項目間のリンクを赤色で、あるいは点滅で表示して注意を促す等である(学生の理解度は毎回の授業で小テストによって把握している)。さらに、授業内容のうち、それまでの授業でこの範囲まで習得したという範囲を可視化し、学生の勉学意欲が途切れないようにする。 学生の自宅での復習のために、授業で用いるプレゼンテーションデータの一部分を抽出し、ウェブページで公開できるとよい。そのためには、3 次元的なグラフ構造を持った授業項目データを、2 次元の画像に写像する必要がある。その変換のためのアルゴリズムを考案し、実装する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、予定に比べて成果発表のための旅費の私用が少なかったこと、および本システムによる授業理解度を確認するための実験の実施が遅れ謝金を使用しなかったことから、10万円程度を次年度に繰り越すこととなった。 次年度はそれらの利用に加え、情報および教材の可視化方法についての書籍の購入、成果の学外発表および学会への論文投稿に使用する計画である。
|