2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
三上 喜貴 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70293264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
リー飯塚 尚子 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (00509565)
永野 建二郎 長岡技術科学大学, 工学部, 講師 (90272872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学術用語 / 技術移転 / 翻訳 / 言語 / 技術導入 / 訳語形成 / 国際研究者交流 / ミャンマー |
Research Abstract |
訳語形成と技術受容に関する経路推定の見取り図をえるため、調査の初年度にあたり、まず、基本的な科学技術に関する語彙7語を選び、合計20言語における対応語の調査を行った。 調査対象とした7語は、science, technology, engineering, research, university, computer, civil engineeringである。調査にあたっては、本学の留学生を中心に当該言語を母語とするものを探し、彼らに共通の調査票を渡して記入してもらうという方法をとった。 調査言語は以下のとおりである。ベンガル語、カタロニア語、中国語、ドイツ語、ヘブライ語、日本語、ルワンダ語、韓国語、ラオ語、マレー語、ミャンマー語、ネパール語、ペルシャ語、スペイン語、タミル語、テトゥン語(東チモール)、タイ語、チベット語、ウルドゥ語、ヴェトナム語である。これらの言語は、地理的にもアジア、アフリカ、ヨーロッパ、大洋州など世界各地にまたがり、歴史的・文化的にも、また経済発展段階という点でも相当大きな多様性を持っているために、調査結果もこれを反映して実に多彩な知見をえることができた。 調査結果の集約や意味づけを巡って討議を行うため、平成25年3月22日には、長岡技術科学大学を会場として、共同研究者、関連研究者、調査票への回答者を召集してLANGUAGE WORKSHOPと題するワークショップを開催した。また、調査の実施と結果の取りまとめにあたっては、研究代表者の研究室で修士課程を修了し現在母国ミャンマーでポスドク研究者をしているミャンマー人研究者の協力を得ることにした。初年度の調査結果を論文発表するべく、取りまとめ中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
調査票への回答者の回答言語が20言語と、当初想定した以上に広がりをもった調査協力者を得ることができ、当初計画した以上に研究の視野を拡大することができた。 今回調査した7つの語彙は基礎的な語彙であるだけに、多くの言語で、それぞれの文化的歴史的背景を反映した訳語形成が行われていた。例えば、scienceの訳語形成についてみると、比較的科学の導入が新しい幾つかの言語圏では音訳(phonetic adoption)がとられているものの、多くの言語では「知恵」のような古来からある語彙との組み合わせにより語彙形成を行っており、その語源となる言語も、サンスクリット語、パーリ語、アラビア語、ペルシア語、中国語など多数にわたる。engineeringについては、「手を用いた技」といった基本的概念を多くは共有しているものの、例えばヘブライ語では幾何学と結びついた翻訳が行われているなど、言語ごとの特色もある。universityの場合、ミャンマー語では紀元前から仏教大学として栄えたタキシーラを語源とする語彙が形成されており興味深い事例であった。civil engineeringの場合、その歴史的な由来はmilitary engineerに対する反対概念としてのcivilであったわけだが、これと同様の市民的、公共的といった訳語をあてっている言語、日本語の土木工学と同様、建築や建設といった訳語を宛てている言語、など多数のアプローチが見られた。computerについては音訳と意訳(計算する機械)がほぼ半々であった。 今後、調査対象語彙と対象言語を増やして、調査を更に進めることにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象言語をより拡大し、また、調査対象語彙も基本語彙から、各分野ごとの専門語彙を増やし、調査を進めることにしたい。今回調査に協力してくれた回答者の一部は帰国するなどの移動があるが、成果発表を通じてあらたな協力者を獲得したい。 当初研究計画では、代表者の研究室で開拓したcross lingual phonetic similarity metricsという判定基準を用いた自動的な音訳語の判別技術を活用することを予定していたが、対象語彙がある段階を超えた段階ではこうした自動化手段が必要であるものの、現段階ではむしろマニュアルな調査が望ましいという判断であるので、当面、初年度と同様の手法にて調査を続行し、解析を行う予定である。 なお、調査結果の共有を進めるために、この調査プロジェクト専用のウェブサイトを立ち上げる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
訳語調査への協力者への謝金支払い、国際共同研究者の招聘旅費などに充当する予定である。
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Research Products
(2 results)