2012 Fiscal Year Research-status Report
遺跡出土植物遺体データベースの構築に基づく生業形態と植物分布変遷との関係の解明
Project/Area Number |
24650585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
百原 新 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (00250150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 雄一郎 国立歴史民俗博物館, 考古研究系, 准教授 (30456636)
沖津 進 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (70169209)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 情報考古学 / 植生史 / データベース / 大型植物遺体 / 植物同定 / 古植生復元 |
Research Abstract |
全国の遺跡調査報告書に記載されている種実類や葉などの大型植物遺体出土記録をデータベース化することで,最終氷期から現在までの植物分布の地理的変遷を明らかにした.それにより,各植物の時間的・空間的分布と,既存の木製品データベースや考古学資料,花粉分析資料,環境変遷データとを比較することで,栽培植物を含む植物群の分布域変遷におよぼした人為的影響(生業様式や人口密度の変化,文化や技術の伝搬などとの関係)を明らかにすることを目的とした.植物遺体出土記録データベースを公開することで,同定・記載・検出方法に関する植物考古学研究基準と,栽培植物の出土編年体系の確立をめざし,発掘現場における植物遺体記録の精度向上を図る.本年度はデータベース構築を中心に行い,国立歴史民俗博物館(佐倉)の書庫で,百原・工藤の指導のもと研究補助の学生が遺跡発掘報告書を閲覧し,大型植物遺体(種実類)出土記載のある報告書をコピー,エクセルに入力を行った.関東地方の各県を中心にデータベース化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物遺体のデータベース化作業については,おおむね順調に進展し,関東とその周辺の遺跡データの入力をほぼ終了した.データベース作業を中心に担当している学生が卒業論文のために年度後半の作業が滞ったため,平成25年度に予定の部分を持ち越すことになった.一方,現生表層と植生との関係の調査等データベース利用のための新たな研究課題も明らかになり,その検討等で進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度と同様に大型植物遺体記録のデータベース化を行う.中部地方以南の資料を中心に行い,各植物の用途を木製品データベースや民俗例に基づいて明らかにし,これまでの遺跡発掘調査で明らかになっている生業様式の時代的・地理的変遷との関連を検討する.海洋酸素同位体分析や花粉分析で明らかになっている広域的な気候変化・海水準変化や,火山活動記録等と比較し,自然環境の変化が影響した植物遺体群の変化を抽出する.それらにより,生業活動様式の変化がもたらした人為的な植物移動と,気候・海水準変化,火山活動などの自然環境がもたらした影響とを明確化するとともに,現在の日本列島の植物の分布形成や栽培植物の形成・伝搬が,人間の生活様式の変化と自然環境の変化との関係でいつ,どのようにおきたかを明らかにする.前年度と同様,種実類形態にもとづく同定基準を現生植物標本との比較に基づいて明確にし,これまで入力されたデータの再点検を行う.さらに,遺跡データからの古植生変遷復元のための基礎研究として,現生表層遺体と周囲の植生との関係の調査研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベース作業を中心に担当している学生が卒業論文のために年度後半の作業が滞ったため,平成25年度に分担金を持ち越し,本年度に集中して作業を行うことにする.
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Research Products
(4 results)