2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650607
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 教授 (80227222)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | フェノロジー |
Research Abstract |
地下温暖化が桜の開花にどのような影響を与えるかを明らかにするために、まず過去の桜開花の変化トレンドと、地温の経年変化トレンドを明らかにした。桜の開花は日本の103箇所の平均で過去50年で5日開花が早まっており、特に大都市の東京、大阪、名古屋でその開花早期化の傾向は強く、都市化によるヒートアイランド現象が大きな要因であることが明らかになった。地温の経年計測は1970年代で終了しているが、終了までの約30年間の平均をみると、桜も開花変化トレンドに最も相関性が高いのは、気温ではなく、深度50cmの地温であることが明らかになった。 各深度の地温と根域の状況、および桜の開花の関係を明らかにするために、桜の木の胸高直径、高さ、枝ぶりなどが似た3本の木の周辺で、深度5,20,50,100,150cmに地温計を設置し、気温と共に連続測定を行った。地温は深度とともに温度変化の振幅を減少しながら、位相が遅れる変化傾向を示した。3地点の同深度の地温にも違いがみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「地球環境変動とフェノロジー(生物季節)」との関係を「桜の開花時期と地温」から明らかにし、地下温暖化の影響をフェノロジ―からマッピングする事である。平成24年度の目標は、桜の開花に影響を与える因子として、従来の気温ではなく、根域に直接影響を与える「地温」に注目し、桜の開花に最も影響を与える地温“深度”を明らかにし、従来の開花予測とは異なった視点から地球環境問題との関係を明らかにすることである。今年度の解析から、気温より深度50cmの地温の方が、開花時期との相関が高いことが明らかになり、当初の仮説である「気温以外の桜開花の影響因子としての地温」の可能性があることが明らかになった。このことから、研究目的の達成度として、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度に開始した複数深度・複数地点での地温の連続測定を継続し、同深度の地温の違いの原因を明らかにするとともに、地温以外の因子(土壌水分など)についても、桜開花に与える影響について明らかにしていく方針である。 また、温暖化および都市化に伴うヒートアイランドの影響を、地下温暖化の視点からとらえ、サクラの開花というフェノロジー影響分布を明らかにすることを最終目的とすることから、日本以外の地下温暖化と桜のフェノロジー影響分布がみられる可能性のある台湾のデータを解析し、日本との相違点等を明らかにする予定である。 また、コントロール実験については、既存の実験結果を精査し、影響因子特定の手掛かりとしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画については、初年度に必要測定器の購入を終えたので、継続測定のための旅費と、コントロール実験の準備のための資料収集、台湾の地温データの解析に要する経費などを中心に使用したいと考えている。
|
Research Products
(3 results)