2012 Fiscal Year Research-status Report
その場でリガンドの結合能をONにするがん検出分子プローブの開発
Project/Area Number |
24650649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
松村 幸子 公益財団法人がん研究会, がん研究所蛋白創製研究部, 研究員 (90414052)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / ペプチド / ナノバイオ / 蛍光イメージング / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は、特異性と感度の高いがん細胞検出のための蛍光プローブを開発することで、がん細胞膜上に発現している受容体と酵素の両方を標的とするペプチドを組み込んだプローブを作製する。このプローブは、標的受容体に結合するサイトを複数もっているが、構造的に結合サイトを埋没させることで、はじめは一部のサイトしか標的に結合できないようにしておく。しかし、標的細胞に結合すると、細胞膜上にある酵素によってプローブの一部が切断されてプローブの構造が変化し、埋没していた結合サイトが標的受容体に結合できるようになる。このプローブに蛍光色素を導入しておくことで、細胞を蛍光で検出するものである。 平成24年度は、まず、プローブの設計と合成を行った。がん細胞や腫瘍血管内皮細胞で発現が高いCD13を標的受容体として、これに結合するリガンドペプチドとして、NGR配列をもつペプチドを利用することにした。NGR配列をプローブ内に構造的に埋没させるために、ペプチドのβシート構造を利用することにし、NGR配列を複数組み込み、さらに蛍光色素を導入したβシートペプチドを設計した。このペプチドを化学合成したところ、精製収率が低く、十分な量のペプチドを得ることが困難であった。反面、このペプチドがβシート構造を形成しやすいことがわかったので、分子設計と精製条件の改良を進めている。一方、プローブのがん細胞への結合を評価するための準備を進めた。標的とする酵素として、がんの進展に深く関与している膜型マトリックスメタロプロテアーゼのMT1-MMPを候補として、MT1-MMPと標的受容体のCD13の両方を発現しているがん細胞株(HT1080)を選択した。NGR配列を一つしかもたないβシートペプチドを作製し、HT1080に添加したところ、プローブのがん細胞への結合を蛍光で検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プローブとして設計したペプチドの溶解性が低く、精製が困難であったため、プローブの評価実験に十分な量を得ることができなかった。そのため、分子設計と精製方法の見直しを進めていた。
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Strategy for Future Research Activity |
プローブを高収率で化学合成し、十分な量のペプチドを得る。はじめにHT1080がん細胞株を用いて、プローブの細胞への結合能力、特異性、局在等について、蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡を用いて明らかにする。さらに、各種の細胞株や阻害剤、抗体等を用いて、標的とする受容体や酵素に対して特異的にがん細胞を検出できることを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
凍結乾燥機の購入を予定していたが、設置場所を確保できず、購入できなかった。また、合成条件の検討を行っていたため、小スケールでの合成に留まり、試薬の使用量が予定より少なかった。 今後、合成スケールを大きくするので、当初の予定のように合成用試薬を購入する予定である。また、当初の予定のように、細胞を用いた評価に進むため、細胞実験用の試薬と、詳細な顕微鏡観察のための対物レンズの購入を予定している。
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