2012 Fiscal Year Research-status Report
小渓流に設置した小水力発電施設が生態系に及ぼす影響と評価に関する研究
Project/Area Number |
24651026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島谷 幸宏 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40380571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水生昆虫 / 減水 / 小水力発電 / 加地川 |
Research Abstract |
本年度は鳥取県の加地川を対象に小水力発電施設により減水区間が生じている区間および、通常区間を対象に底生動物を対象に研究を実施した。加地川は鳥取県八頭郡若桜町に源を発し,鳥取県東部を流れる川であり,千代川水系の八東川に注ぐ支川である.加地発電所は,加地川において流域面積6.93km2の地点から最大0.55m3/sの流量を取水し,落差242.10mで最大出力1100kWの発電を行う施設である.常時使用流量と平均渇水流量から算出することで取水量は46%となった. 各コドラート内において底生動物のサンプリングを行った。渓流のハビタットをカスケード、プール、早瀬、よどみの4つに区分し解析した。 出現科数に関して,ハビタットごとにReference区間とImpact区間の比較を行ったところ,カスケードにおいてのみ有意差がみられ,Reference区間において採集した生物科数の方が多かった.しかし,カスケード以外の3種のハビタットにおいてはReference区間とImpact区間で統計的有意差は見られなかった. 密度に関して,科数と同様,ハビタットごとに区間の比較を行ったところ,瀬,カスケード,よどみに関してはReference区間の方が大きく,統計的有意差も見られた.プールに関してはImpact区間とReference区間で統計的な有意差はなかった. 加地川における減水量は常時使用水量より46%減水であった(建技データ2012).降雨直後に調査したため,晴天時のハビタット分布を把握することは出来なかったが,生態系の変質が見られなかったことから,生物が生息するための最低限のハビタット分布はしていたと考えられる.しかし,本研究対象地とは異なる減水割合を起こす河川において影響評価を行った際,物理環境,生態系に異なる影響が見られる可能性もある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定は、小水力発電施設が設置する予定の河川を対象にした予備調査であったが、小水力発電施設の設置が遅れるため、既に小水力発電施設が設置済みの渓流を対象に研究を実施した。ハビタット区分、物理環境の把握、底性動物調査などを実施し、50%の減水河川では底性動物相に大きな影響がないことを把握した。順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
小水力発電施設が今年度、設置予定の白糸の滝の事前・事後調査、取水割合が異なる緑川での研究を実施し、小水力発電施設が渓流に及ぼす影響の概略を把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小水力発電施設が今年度、設置予定の白糸の滝の事前調査、取水割合が異なる緑川での研究を実施する。そのための消耗品、交通費が主たる研究に使う経費である。
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Research Products
(1 results)