2014 Fiscal Year Annual Research Report
小渓流に設置した小水力発電施設が生態系に及ぼす影響と評価に関する研究
Project/Area Number |
24651026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島谷 幸宏 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40380571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小水力 / 減水 / 渓流 / 底生動物 / カワガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小水力発電がもたらす生態系の影響を把握するために、3つの研究を行った。 ① 2河川の減水率の比較研究を行った。渇水流量比で加地川が50%,加茂川が78%の減水率の河川を対象に研究を実施した。物理環境に関して,加地川では,プールの流速、かけあがりの流速,カスケードの水深について対照区間の方が有意に大きかった.河床材料割合に関して,加茂川において,ステップ,カスケードにおける減水区間の岩盤の割合,およびプール,よどみにおける対照区間の砂の割合がもう一方の区間に比べ大きかった.底生動物群集に関して,加地川において,すべてのハビタット種に関して対照区間と減水区間で生物の分類群数の有意な差はなかった. ② 福岡県糸島市を流れる川付川を対象地として、小水力発電運転開始事前後における物理・生物環境の変化調査した.流速が速いとされるハビタット(ステップ,カスケード)において取水に伴う減水によって流速が小さくなる傾向が見られ,同ハビタットにおける底生動物群集構造も減水前後で大きく異なっていた.各ハビタットで確認された生物種に着目すると,ステップ,カスケードでは急流,あるいは飛沫帯を好む種が減少していることも明らかとなった. ③ 熊本県山都町を流れる1級河川緑川水系緑川を対象河川として生態系において上位である鳥類を対象とした取水・放水による流量変動の影響調査を行った.冬季はReference区間に比べImpact区間における採餌が少なかった.糞調査において冬季はImpact区間における糞数がReference区間に比べて少なかった.一方で夏季はReference区間とImpact区間における糞の数は同程度であった.鳥類に着目すると,夏季に比べ,平常流量の少ない冬季において取水による減水の影響が大きくなる可能性がある.
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Research Products
(2 results)