2013 Fiscal Year Research-status Report
微細緑藻類による放射性物質除染法開発とその発癌抑制効果
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24651074
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
志村 浩己 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40303416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 文彦 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (90456450)
一條 昌志 山梨大学, 医学部附属病院, その他 (50436854)
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Keywords | 放射性物質 / 除染 / 微細緑藻類 / 甲状腺癌 / 活性酸素 / RhoB / 甲状腺ホルモン受容体 |
Research Abstract |
これまで,微細緑藻類Parachlorella sp binos (バイノス)は,放射性ヨウ素を細胞質内に取り込み,放射性ストロンチウムと放射性セシウムの取り込みは,アルギン酸に富む細胞外マトリックスに結合することを明らかにし,その取り込み効率の高さより,福島県の環境中に飛散した放射性物質の除染事業に利用されるに至った。 平成25年度は,さらにヨウ素取り込み機序を検討した結果,ヨウ素取り込みには活性酸素の存在が必要であり,光合成に基づく活性酸素産生機序とその利用機構がヨウ素の能動輸送に関与している事が明らかになった。今後,この機構に関与する遺伝子の同定を行う。 さらには放射性物質取り込み機能に関与する遺伝子の同定のため,バイノスRNAiライブラリーを作成し,遺伝子同定を試みている。 一方,甲状腺癌症例の癌組織においてはSmall GTPaseの一つであるRhoBの発現が低下している事を明らかにした。さらに甲状腺ホルモン受容体のdominant negative点変異を導入したTRβPVノックインマウス(TRβPV/PV)は遠隔転移を伴う甲状腺癌を自然発症するが,昨年度我々は甲状腺ホルモンによる甲状腺ホルモン受容体の刺激が,small GTPaseの一種であるRhoBの発現を増加させ,甲状腺癌の増殖を抑制することを明らかにした。RhoBは放射線照射後の細胞においてアポトーシスを誘導する作用があることが明らかになってきており,放射性ヨウ素内部被曝後の甲状腺にRhoBの発現を誘導することは,発癌および癌の悪化に対し,非常に有効な手段になることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下の3つの目標を上げている 1.微細緑藻類バイノスによる放射性物質汚染水および汚染土壌の除染方法の開発 2.微細緑藻類バイノスの放射性物質取り込み分子機構と,取り込み能力のさらなる増幅方法の開発 3.甲状腺癌易発症モデルマウスにおける内部被曝による発癌解析と発癌抑制効果の検討 昨年度としては1については研究を完了しているが,2については現在進行中である。また,3についてはRhoB発現誘導による発癌抑制の可能性を見いだしており,さらに研究を進展させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
微細緑藻類バイノスの放射性物質取り込み分子機構と,取り込み能力のさらなる増幅方法の開発に関しては,現在取り組んでいる微細緑藻類のsiRNAライブラリーのスクリーニングと同定されたsiRNAの組み込みを進める予定である。 また,甲状腺癌易発症モデルマウスにおける内部被曝による発癌解析とバイノス投与による発癌抑制効果の検討に関しては,small GTPaseのRhoBの発現誘導機構のさらなる解明と放射性ヨウ素内部被曝による甲状腺癌誘導に対するRhoB発現誘導による抑制効果を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した物品費の一部が平成26年4月支払となったため,次年度使用分が発生した。 繰り越し分277,775円は物品費として平成26年4月30日支払となっている。
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Research Products
(2 results)