2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24651124
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原口 雅宣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20198906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 敏弘 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (60274263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スプリットリング共振器 / 半導体量子ドット / 共鳴 / 発光スペクトル |
Research Abstract |
発光波長と共鳴波長が一致する金属スプリットリング(SSR)構造を得るため,適切なポリスチレン球を用いることで外径95nmまたは140nmのAgまたはAuによるSRRを,外径と共鳴波長のばらつきプラスマイナス10%でガラス基板またはシリコン基板上に作製する技術を確立した.半導体量子ドット(QD)との共鳴的相互作用を観測するので,共鳴波長の制御ができたことは非常に重要なステップである.QDとして,発光波長850nmから1500nmの市販のPbSを選択し,SRRが存在するガラス基板またはシリコン基板上に,希釈分散液滴下により分散させ,AFMによりQDとSRRの位置関係を把握することに成功した.ITOを有するガラス基板やシリコン基板をAFMプローブを用いて,5nm程度の位置精度で直径20nm程度の範囲を局所的に酸化させることができた.局所的な陽極酸化を利用してQDの集団を基板上の特定位置に誘導することには成功した.しかし,単独または少数のQDの誘導にはできていない. 発光および励起用光学系として,専用の共焦点光学系を構築し,基板上に分散されたQDの発光スペクトルの確認および蛍光寿命計測の試行ができた.しかし,単独または少数のQDについて現有の光検出器の感度が不十分であることと,そのようなQDの正確な存在位置確認が難しいため,発光スペクトルは未確認である. 適切な波長分散特性を有する微小誘電体をSRR近傍に配置するモデルにて光散乱特性を,ダイポール型波源をSRR近傍に配置するモデルにて蛍光特性の結果を解釈する為の計算機プログラムを作成し,これまでの散乱特性に関して実験結果と矛盾のない結果が得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QDの発光波長と一致した共鳴波長のSRR作製に成功している.AFMの陽極酸化を利用してQDを基板の特定位置に誘導することに成功している.単独および少数QDをSRR近傍に配置する技術は必ずしも確立していないが,利用する薬品の種類や希釈後濃度,基板表面処理等の条件の調整によって,低い確率ではあるが誘導はできており,確率を高めることが問題となっている.光学系の構築,QDからの蛍光の確認もできている.少数QDの蛍光については,他の研究事例により試料を液体窒素温度程度まで冷却するとともに,フォトンカウンティングシステム等の高感度検出測定系を使用することにより観測可能と見込まれる.シミュレーションプログラム開発とそれを用いた散乱実験の解釈に関しては順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
AFMプローブによる陽極酸化を用いたQDの誘導に関して,薬品の種類や希釈後濃度,基板表面処理等を最適化することにより,SRRナノギャップおよび近傍に高い確率でQDを誘導する技術を確率する.一方,蛍光イオンがドープされたゾルゲルガラスをギャップへ配置した構造作製も試みる.まず基板表面にそのようなガラス薄膜を百nm程度の厚さで形成しエッチングにより特定部位にのみこれを残し.この部分をギャップ部に配置したスプリットリングを微細加工により作製する. 発光計測に関してはQDの個数が少ない場合にSN比が悪化しているので,学内の他の研究グループや大阪大学の研究グループの協力の元,それらグループが有する設備を用いて発光特性の計測を行う.また,SRRの特定位置を励起可能な手法として電子ビームを用いるカソードルミネッセンス(CL)法がある.共鳴的発光の観測に関して非常に有効と考えられる.本学にCL装置があるので,蛍光波長域に感度のある光電子増倍管を購入し発光実験に用いる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由は2つある.まず1つは,当初大学院生が研究補助者として採用される予定であったが,本テーマを卒業研究として選択した学生が現れたため,謝金の利用がなくなったことである.2つめは,QDの個数が少ない場合にSN比が極端に悪化し蛍光確認が困難となったことに対応するため,高感度受光素子の導入を時間をかけて検討したことによる.検討の結果,現有の設備と費用対効果を確認した結果導入は効果的でないと結論づけられた.従って,次年度は,他の研究機関での光励起による発光計測のための旅費を増額する.さらに,検討の過程で,CL法による観測は,SRRとQDの共鳴的励起状態を解明する手法として有望であることが判明したので,CL装置のための光電子増倍管を購入し発光実験に利用する.,
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Research Products
(5 results)