2014 Fiscal Year Annual Research Report
波の干渉により津波を消散させる「双胴型」防波堤の設計開発と数理モデルの構築
Project/Area Number |
24651197
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
奥村 弘 富山大学, 総合情報基盤センター, 講師 (30355838)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 津波減災 / 津波防災 / 計算流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する「双胴型」防波堤は,高い壁に津波を衝突させるという従来の防波堤の発想とは異なり,波の干渉を利用して津波の力を低減させようというアイディアに基づいている.このアイディアは2つの翼間での波の「反射」・「干渉」・「相殺効果」のメカニズムを利用することで波動抵抗を劇的に低下できる複葉翼(ブーゼマン翼)や,高速船舶の双胴船から着想した.一見,超音速流と津波は結びつかないと感じられるが,実は超音速流と陸地近くの海底が浅い場所の流れは、類似な流体方程式で表現できる.これまでの申請者の研究から,超音速流れと海洋の流れに類似性があるため,超音速翼の抵抗低減アイディアや理論式を津波流れにも応用することで,有効に津波の破壊力を消散させることができる.双対の堤防胴体を適切な間隔で配置し,この流体力学的形状を持った堤防間を津波が流れる間に発生する波の「反射」・「干渉」・「相殺効果」の現象を利用することで,津波エネルギーを減衰させることを本研究で確認した. 沖合で発達した巨大津波は,海岸線に設置された何組かの「双胴型」防波堤の働きで防波堤内側の港湾・海岸では波が静穏化される.波を堰き止めるのではなく干渉で波を弱めるという発想は新しく,津波防災のイノベーションに成り得るといえる.従来の防波堤では想定する波を堰き止めるためにその高さや規模が肥大化し,海水の循環を妨げるなど自然環境の破壊が問題となっている.また,防波堤によって海洋景観が遮断されるといった「海の見えない海岸」の景観損失は近隣住民や観光産業にとって大きな問題であった.従来の防波堤に散見するこれら諸問題を大きく緩和させる未来型の防波堤として「双胴型」防波堤は大きな可能性があり,学術的にも産業利用上の観点からも卓越した成果が期待できる.
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Research Products
(2 results)